OKRとは?意味やKPIとの違い、設定方法と企業事例を解説

「目標を設定しても、なかなか組織全体で共有できない」「社員のモチベーションが上がらない」そんな悩みを抱えていませんか?
OKR(Objectives and Key Results)は、Googleやメルカリなど世界的企業が導入し、成果を上げている目標管理手法です。組織と個人の目標を連動させ、全社員が同じ方向を向いて挑戦できる仕組みを作れます。
本記事では、OKRの基本的な意味から、KPIやMBOとの違い、具体的な設定方法、実際の企業事例まで詳しく解説します。この記事を読めば、OKRの全体像を理解し、自社での導入検討に必要な知識が身につくでしょう。
目次
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OKRとは?基本的な意味と特徴
事例や設定方法を紹介する前にOKRに関する概要を解説します。
- OKRの定義と構成要素
- OKRの3つの特徴
- OKRが注目される背景
それぞれ確認してみましょう。
OKRの定義と構成要素
OKRとは「Objectives and Key Results(目標と主要な結果)」の略称で、目標達成に向けた組織マネジメント手法の一つです。1970年代に半導体メーカーIntelが採用したのが始まりとされ、その後GoogleやFacebookなど米国シリコンバレーを代表する企業が次々と導入しました。
OKRは2つの要素で構成されています。「Objectives(目標)」は達成したい定性的なゴールを示し、「Key Results(主要な結果)」はその目標の達成度を測る定量的な指標です。通常、1つの目標に対して3〜5個の成果指標を設定します。
たとえば「業界をリードする企業になる」という目標に対し、「新規顧客1,000社獲得」「顧客満足度80%以上」といった測定可能な指標を設けるのがOKRの基本構造です。
OKRの3つの特徴
OKRには従来の目標管理手法と異なる3つの大きな特徴があります。
第一に、組織全体から個人まで目標が連動する仕組みです。企業全体の目標を起点に、部門、チーム、個人へと段階的に目標を落とし込みます。これにより全社員が同じ方向を向いて業務に取り組めるのです。
第二に、1〜3ヶ月という短期サイクルで目標を見直す点が挙げられます。短期サイクルで定期的に達成度を振り返ることで、目標に対する進捗を確認したり、目標設定の妥当性を検証したりできます。変化の激しい市場環境にも柔軟に対応可能です。
第三に、達成率60〜70%を理想とする挑戦的な目標設定が特徴といえます。100%達成できる目標ではなく、高い目標を掲げることで社員の挑戦心を引き出し、能力を最大限発揮させる狙いがあります。
OKRが注目される背景
OKRは1970年代に米Intelが採用し、その後GoogleやLinkedInなど数多くのグローバル企業が採用したことで有名になりました。特にGoogleでの成功事例は、OKRの有効性を世界中に知らしめました。
変化の激しい現代のビジネス環境では、年単位の長期計画だけでは市場の変化に対応しきれません。しかし、OKRの短期サイクルでの目標設定・評価は、スピード感をもった経営判断を可能にします。
また、多様な国籍や文化をもつ社員が働くグローバル企業では、異なる価値観をもつ者それぞれが納得できる業績評価を行う必要があります。明確で測定可能なOKRは、公平な評価基準として機能するのです。
日本国内でも、メルカリ、Sansan、花王などの先進企業がOKRを導入し、成果を上げています。
OKRとKPI・KGI・MBOの違い
OKRを効果的に活用するためには、それぞれの指標がもつ役割など、特性の違いを正確に理解して適切に使い分けることが不可欠です。
- OKRとKPIの違い
- OKRとKGIの違い
- OKRとMBOの違い
- 比較表でわかる4つの手法の特徴
それぞれ見ていきましょう。
OKRとKPIの違い
KPI(Key Performance Indicator:重要業績評価指標)は、目標達成やビジネス戦略の実現に向けた業務プロセスが適切に実施されているかを測る定量的な指標 です。
最大の違いは達成率の考え方にあります。OKRでは目標に対する達成率は60〜70%が理想であることに対し、KPIでは達成率100%を目指します 。KPIは確実に達成すべき指標であるのに対し、OKRは挑戦的な目標なのです。
また評価サイクルも異なります。OKRは1~3ヶ月の単位で目標設定を見直しますが、KPIは業務のプロジェクトごとに変動します 。OKRがより短期的で柔軟な運用を前提としている点が特徴です。
実務では、OKRで大きな方向性を示し、その達成手段としてKPIを活用するといった使い分けが効果的でしょう。
OKRとKGIの違い
KGI(Key Goal Indicator:重要目標達成指標)は、プロジェクトや業務全体の目標達成指標で、「何をもって成果とするか」を定量的に定めたものを指します。売上高や営業利益率などが代表例です。
KGIは最終的な「結果」を測る指標であるのに対し、KPIはその結果に至る「過程」を測る指標という関係性があります。そして達成率は両者とも100%を目指す点で共通しています。
OKRとの違いは、目標設定の粒度と達成水準です。KGIは明確な数値目標を100%達成することを前提としますが、OKRは60〜70%の達成を想定した挑戦的な目標設定を行います。
また、KGIはOKRでの「目標(Objective)」、KPIはOKRでの「主な結果(Key Results)」に相当すると考えることもできます が、達成に対する考え方が根本的に異なる点に注意が必要です。
OKRとMBOの違い
MBO(Management by Objectives:目標管理)は、1954年にP.F.ドラッガー氏が自身の著書の中で提唱した組織マネジメントの概念 で、個人やグループごとに目標を設定し達成度で評価する手法です。
最も重要な違いは人事評価との関係性です。MBOは社員の報酬決定に直結するため、達成率100%を目指します。一方、OKRは原則として人事評価と結びつけることはしません 。人事評価と連動させると、達成しやすい低い目標を設定する傾向が生まれ、OKR本来の挑戦的な目標設定ができなくなるからです。
また、MBOは年1回の評価サイクルが一般的ですが、OKRは1〜3ヶ月と短期間で見直します。この違いにより、OKRの方が市場変化への対応力が高いといえます。
目標設定のプロセスも異なり、MBOは上司が個人の目標を設定する傾向がある一方で、OKRは組織全体で目標を共有し、ボトムアップの意見も取り入れながら設定していきます。
比較表でわかる4つの手法の特徴
目標管理手法の違いを整理すると、以下の表のようになります。
| 手法 | 主な目的 | 評価期間 | 達成水準 |
|---|---|---|---|
| OKR | 挑戦的目標による組織連携とモチベーション向上 | 1〜3ヶ月 | 60〜70% |
| KPI | 業務プロセスの適切な実施状況の測定 | プロジェクトごと | 100% |
| KGI | 最終的な成果の測定 | プロジェクトごと | 100% |
| MBO | 業績に基づく人事評価 | 1年 | 100% |
それぞれの手法には長所と短所があり、目的に応じて使い分けることが重要です。OKRは組織全体の方向性統一とモチベーション向上に、KPI/KGIは具体的な業務管理に、MBOは人事評価に適しているといえます。
OKRを導入する4つのメリット
OKRは変化の激しい現代において、従来の目標管理手法では実現が難しかった以下の4つのメリットをもたらし、企業の競争優位性の確立に寄与します。
- 目標の明確化と全社共有
- コミュニケーションの活性化
- 社員のモチベーション向上
- 業務の優先順位の明確化
順に見ていきましょう。
目標の明確化と全社共有
OKR導入の最大のメリットは、組織の目標を明確化し全社員で共有できる点です。
まず自社の目標を設定して、その目標に対して各部署、各課、社員一人ひとりの目標や具体的なアクションに落とし込みます。このプロセスにより、企業のビジョンが具体的な行動レベルまで分解されます。
トップの考えだけでなく、現場の声も反映させながら目標を設定するため、社員の納得感も高まります。全社員が「何のために」「何を目指すのか」を理解できれば、自律的な行動が生まれるでしょう。
また、OKRは原則として全社に公開されるため、他部署が何を目指しているかも把握できます。部署間の連携もスムーズになり、組織全体での相乗効果が期待できます。
コミュニケーションの活性化
OKRは自社が目指す目標を全社員と共有してモチベーションアップを図ります。短期サイクルでの評価とフィードバックを通じて、上司と部下、チーム間でのコミュニケーションが自然と増加します。
特に1on1ミーティングでOKRをすり合わせるプロセスは、日常業務では話しにくい中長期的なキャリアや課題についても対話する機会となります。
人事評価には反映されず、60%程度の達成率でも十分なので、評価のミーティングを気軽にかつ前向きな気持ちで行うことができます 。失敗を恐れずに挑戦を語り合える文化が醸成されるのです。
同じ目標に向かってそれぞれの部門がどう取り組むかを共有することで、部門間の壁も低くなり、協力体制が生まれやすくなるでしょう。
社員のモチベーション向上
自社の目標達成に向けて、社員一人ひとりが取り組むべき業務が明確となり、貢献度合いが実感しやすいと言われています。自分の仕事が会社全体の目標にどうつながっているかが見えることで、業務への意味づけができます。
少し背伸びすれば届く目標は、「やってみたい」という前向きな気持ちを引き出すのです。
100%の達成を求められると、失敗を恐れて保守的になりがちです。しかし、OKRでは挑戦自体が評価されるため、新しいアイデアや手法にも積極的に取り組めるようになります。
結果として、自分の仕事が会社の目標達成に貢献しているという実感が、エンゲージメントの向上につながるでしょう。
業務の優先順位の明確化
自社の目標に対してチームのOKR、チームのOKRに対して個人のOKRと、大きな目標に基づいて段階的に個人まで落とし込んでいきます。この構造により、今最も重要な仕事が何かが一目瞭然となります。
日々の業務ではさまざまなタスクに追われがちですが、OKRがあれば「これは本当に今やるべきことか?」という判断基準を持てます。重要度の低い業務を見極め、断る勇気も持てるようになるでしょう。
また、複数のプロジェクトを抱える場合も、どれが企業目標への貢献度が高いかを判断できます。限られたリソースを最も効果的な領域に集中投下できるため、組織全体の生産性向上にもつながります。
優先順位が明確になれば、無駄な会議や作業も減らせるので、業務効率化とワークライフバランスの改善にも寄与する効果が期待できるのです。
OKRの設定方法と運用の流れ
OKRの特徴である「挑戦的な目標」と「全社的な連携」を実現するためには、以下の4つのステップを通じて、組織全体で目標を連鎖させていく構造を築く必要があります。
- 企業全体のOKR設定
- 部門・チームのOKR設定
- 個人のOKR設定
- 定期的な評価と見直し
順に紹介します。
STEP1:企業全体のOKR設定
OKR導入の第一歩は、企業全体の目標設定から始まります。基本的には1つの企業に1つのOKRで十分ですが、複数事業を展開する場合は事業ごとに設定するケースもあります。
Objectives(目標)は、企業が目指すべき理想の姿を表現します。目標はシンプルで、なおかつ社員のモチベーションが上がるようなワクワク感があるものが理想的でしょう。たとえば「業界をリードする企業になる」「顧客に最高の体験を提供する」といった定性的な表現が適しています。
Key Results(主要な成果)では、その目標達成を測る具体的な指標を設定します。数値は達成可能なラインより高くするのがポイントです。ただし、あまり高すぎるとモチベーションが下がるので、「難しいが不可能ではない」程度の難易度に設定します。
重要なのは、経営陣だけで決めるのではなく、現場の意見も取り入れることです。ボトムアップの視点を加えることで、実現可能性と挑戦性のバランスが取れた目標になります。
STEP2:部門・チームのOKR設定
企業全体のOKRが決まったら、次に部門やチームごとのOKRを設定します。ここで最も重要なのは、企業全体の目標との連動性です。
たとえば企業の目標が「業界トップの顧客満足度を実現する」であれば、営業部門は「顧客対応スピードの向上」、開発部門は「製品品質の向上」、カスタマーサポート部門は「問い合わせ対応の改善」といった形で、それぞれの立場から企業目標達成に貢献するOKRを設定します。
部門のObjectivesも定性的な表現とし、Key Resultsで測定可能な数値目標を設けます。チームメンバー全員が納得できる目標にするため、メンバー間での十分な話し合いが必要です。
上位目標との整合性を保ちつつ、現場の実態に即した目標を設定することで、実効性の高いOKRになります。場合によっては、下位組織の目標設定内容を受けて、企業全体のOKRを微修正することもありえるでしょう。
STEP3:個人のOKR設定
部門・チームのOKRに基づき、最後に個人のOKRを設定します。このプロセスでは、1on1ミーティングが効果的です。
上司と部下が対話しながら、チーム目標に貢献しつつ、個人の成長にもつながる目標を一緒に考えます。一方的な指示ではなく、本人の希望や強みも考慮することで、納得感の高い目標設定ができます。
個人のObjectivesは「営業力を高める」「専門性を深める」といった成長志向の表現でも構いません。Key Resultsでは、その成長を測る具体的な指標を設定します。
重要なのは、個人の目標達成がチームや企業の目標達成に確実につながっているかを確認することです。整合性が取れていれば、個人の頑張りが組織全体の成果に直結し、貢献実感を得やすくなります。
目標設定は押し付けではなく、対話を通じた合意形成のプロセスです。時間をかけてでも、本人が心から達成したいと思える目標を設定しましょう。
STEP4:定期的な評価と見直し
OKRは設定して終わりではなく、1〜3ヶ月ごとの定期的な評価と見直しが重要です。
評価では、各Key Resultsの達成度を0〜100%の進捗率、または0.0〜1.0のスコアで採点します。一般的には0.0〜1.0のスコアを用い、0.7前後を「良好な達成」と捉える運用が多く見られます。もしスコアが常に0.9以上なら目標が低すぎる可能性があり、逆に0.3以下が続くなら目標が高すぎるか、アプローチ方法の見直しが必要でしょう。
評価ミーティングでは、数値だけでなく「なぜ達成できたのか」「何が障害だったか」「次に何をすべきか」といった質的な振り返りも行います。ここでの学びを次のサイクルに活かすのです。
市場環境の変化や新たな課題が見えてきた場合は、四半期を待たずに目標を修正することも柔軟に検討します。OKRは固定的なルールではなく、状況に応じて進化させるツールなのです。
職種別OKRの具体例
OKRの特徴をバランス良く盛り込んだ、主要4職種の具体的なOKR設計例を紹介します。
- 営業職のOKR例
- 人事職のOKR例
- 製造職のOKR例
- マーケティング職のOKR例
それぞれ確認しましょう。
営業職のOKR例
営業職のOKRは、売上や顧客獲得に直結する指標が中心となります。ただし、Objectivesは数値そのものではなく、目指す姿を表現することがポイントです。
目標(O):顧客から信頼される営業チームになる
主要な成果(KR):
- 新規顧客50社との契約を獲得する
- 既存顧客からのリピート率を70%以上にする
- 顧客満足度調査で平均4.5点(5点満点)以上を達成する
このように、単なる売上数字だけでなく、顧客との関係性を示す指標も含めることで、短期的な数字追求に偏らない健全な営業活動を促せます。
また「信頼される」という定性的な目標は、チームメンバーのモチベーションを高める効果もあります。数字だけでは味気ないですが、意味のある目標であれば挑戦意欲が湧くでしょう。
人事職のOKR例
人事職のOKRは、採用や育成、組織文化の醸成など、中長期的な価値創出に関わる目標が適しています。
目標(O):優秀な人材が集まり成長できる組織を作る
主要な成果(KR):
- 3ヶ月以内に重点ポジション5名の採用を完了する
- 新入社員の3ヶ月定着率を95%以上にする
- 社員満足度調査のスコアを前期比10%向上させる
人事職では人材確保に関するものが挙げられ、どのような人材を何人、どのような方法で獲得するかが指標として考えられます 。
採用数だけでなく定着率も含めることで、質の高い採用を促します。また社員満足度という定性的な要素も数値化することで、組織文化への貢献度も測定できるのです。
製造職のOKR例
製造職のOKRは、品質向上や生産性向上、安全性確保などが中心テーマとなります。
目標(O):業界最高水準の品質を実現する
主要な成果(KR):
- 製品不良率を0.5%以下に抑える
- 納期遵守率98%以上を達成する
- 安全インシデントゼロを3ヶ月継続する
製造職では製品の品質向上に関するものがあり、企業OKRである「業界をリードするトップ企業へと成長する」を達成するためには製品の品質向上は不可欠です 。
品質と納期、安全性をバランス良く指標に含めることで、一方に偏らない持続可能な生産体制の構築を目指せます。現場の社員一人ひとりが品質意識をもって行動するための明確な基準となるでしょう。
マーケティング職のOKR例
マーケティング職のOKRは、認知度向上やリード獲得、ブランド構築などが主な領域です。
目標(O):市場で選ばれるブランドを確立する
主要な成果(KR):
- Webサイトの月間訪問者数を20万人に増加させる
- 質の高いリード(MQL)を月200件獲得する
- SNSのエンゲージメント率を5%以上にする
デジタルマーケティングでは数値が取りやすい反面、数字の追求だけに陥りがちです。「選ばれるブランド」という目標を掲げることで、単なるアクセス数増加ではなく、質の高い顧客接点を作る意識が生まれます。
複数のチャネルでの指標を設定することで、偏りのないマーケティング活動を促進できるでしょう。
OKRを導入した企業事例
OKRを導入し、それぞれの経営課題を解決しながら目覚ましい成果を上げている、国内外の代表的な企業の事例を紹介します。
- メルカリ
- Sansan
- 花王
順に紹介します。
Google:世界的成長の原動力
Googleでは2000年の初期からOKRを導入しています。当時Googleの出資者だったジョン・ドーア氏が、OKRの提唱者であるIntelの元CEOであるアンディ・グローブ氏から直接学び、GoogleにOKRをもち込んだとされています 。
Googleの目標管理スパンは3ヶ月に1回で、定期的なミーティングでOKRの評価を行います。特徴的なのは、OKRの評価が全社員に公開され、誰もがお互いの作業状況を確認できる透明性の高さです。
達成率70%を成功とする基準を設け、挑戦的な目標設定を推奨しています。導入から20年以上が経過した現在では、OKRが完全に企業文化として定着し、Googleを世界的企業に成長させた原動力とも評価されています。
この成功事例により、OKRは世界中の企業に注目されるようになりました。
メルカリ:急成長期の目標統一
メルカリでは2015年からOKRを導入しています。急速に成長したメルカリでは、社員の増加にともなって会社と社員との間に目標のズレが生じていました。そのズレを解消し、連携を強化する手段としてOKRを選択したのです。
メルカリが特に重視したのは社員とのコミュニケーションです。定期的な1on1ミーティングで上司と部下が話し合い、それぞれの意見を尊重しながらモチベーションが向上する目標をすり合わせています。
OKRは企業全体、事業部、部署、チーム、個人ごとに設定され、3ヶ月に1回のサイクルで評価を実施。日本企業におけるOKR導入のパイオニアとして、多くの企業に参考にされています。
現場の声を大切にしながら運用する姿勢が、成功のカギといえるでしょう。
Sansan:業務の意味づけを明確化
名刺管理サービスを提供するSansanは、2015年よりOKRを導入しました。
Sansanでは生産性向上のため多くの定量目標を設定していましたが、現場の社員には目標が設定された理由がわかりにくく「なんのためにやっているのか」が見えなくなっていました 。
この課題を解消するためOKRを導入し、各部門の業務が企業のどのような目標とつながっているのかを見える化。社員が自分の仕事の意味を理解できるようになり、モチベーション向上につながりました。
Sansanでは「四半期ごとに個人のOKRを立てて運用するのは手間がかかる」という判断から、社員個人のOKRは設定していません。また独自の手法でOKRを人事評価にも結びつけるなど、自社に合わせたカスタマイズを行っています。
OKRの本質を理解したうえで、企業文化に合わせて柔軟に運用することの重要性を示す事例です。
花王:社員活力の最大化
大手消費財化学メーカーの花王は、2021年に「社員活力の最大化」を目標の一つとして掲げ、達成に向けてOKRを導入しました。
狙いは「夢や目標を臆することなく掲げてもらう」ことで、「事業貢献」「ESG(環境・社会・ガバナンス)」「One team & My Dream」という3つの観点から目標を設定しています。
OKR導入以前は目標達成率そのものを評価基準としていたため目標が達成可能な範囲にとどまってしまう傾向がありましたが、新たな制度の下では「あるべき姿」や「全国レベル」のように高い目標を掲げる例も生まれており、社内のモチベーションが向上しています 。
伝統的な日本企業でもOKRが効果を発揮することを示した好例といえます。社員の挑戦意欲を引き出す仕組みとして、OKRが機能しているのです。
OKR導入を成功させるポイント
OKRで組織の成長とイノベーションを継続的に推進するための、重要な4つの実践ポイントを解説します。
- 適切な目標難易度の設定
- 透明性の確保と情報共有
- 人事評価との分離
- 継続的な改善サイクル
詳しく解説します。
適切な目標難易度の設定
繰り返しになりますが、OKR成功の最重要ポイントは、適切な難易度設定です。しかし、60〜70%の達成率を想定した目標設定は、言葉で言うほど簡単ではありません。
低すぎる目標では挑戦意欲が生まれず、高すぎる目標では諦めの気持ちが先行してしまいます。「少し背伸びすれば届く」絶妙なラインを見極める必要があるのです。
初回は難易度設定が難しいため、まずは設定してみて、評価サイクルを回しながら調整していく姿勢が大切です。達成率が常に90%以上なら少し高く、30%以下が続くなら少し低く設定し直します。
また、すべての目標を挑戦的にする必要はありません。「確実に達成すべき目標(コミット型)」と「挑戦的な目標(ストレッチ型)」を使い分ける企業もあります。状況に応じた柔軟な運用を心がけましょう。
透明性の確保と情報共有
OKRの効果を最大化するには、全社的な透明性が不可欠です。Googleのように、全社員のOKRをオープンにすることで、誰が何に取り組んでいるかが可視化されます。
透明性があれば、部署間の連携もスムーズになります。「あのチームがこの目標を掲げているなら、うちのチームはこの領域をサポートしよう」といった自発的な協力が生まれやすくなるのです。
また、経営陣の目標も全社員に共有することで、トップが何を重視しているかが明確になります。方向性への理解が深まり、組織全体の一体感が高まるでしょう。
ただし、公開範囲は企業文化に合わせて調整することも可能です。まずは部署内から始め、徐々に範囲を広げていくステップも有効です。
人事評価との分離
OKRを人事評価や報酬と直結させないことは、極めて重要な原則です。評価に影響すると分かれば、誰もが達成しやすい低い目標を設定するようになります。
挑戦的な目標を掲げて60%しか達成できなかった人が、安全な目標を掲げて100%達成した人より低評価になるのでは本末転倒です。OKRの本質である挑戦が失われてしまいます。
ただし、OKRへの取り組み姿勢や、目標達成に向けたプロセスでの成長は評価対象にできます。結果の数値そのものではなく、どれだけ挑戦したか、何を学んだかを評価するのです。
Sansanのように独自の工夫で一部連動させる企業もありますが、基本は分離が原則です。導入初期は特に、この原則を徹底することが成功のカギとなります。
継続的な改善サイクル
OKRは一度導入すれば完成というものではありません。継続的な改善が必要です。
評価ミーティングでは、目標の達成度だけでなく「この目標設定は適切だったか」「運用プロセスに問題はないか」といったメタ的な振り返りも行いましょう。
社員からのフィードバックを積極的に集め、運用ルールを柔軟に修正していくことも大切です。「1on1の頻度を増やすべき」「目標数を減らすべき」といった現場の声に耳を傾けます。
また、OKRに関する勉強会やワークショップを定期的に開催し、理解を深めることも効果的です。特に新入社員や中途採用者には、OKRの思想から丁寧に説明する機会を設けましょう。
PDCAサイクルを回し続けることで、自社に最適なOKR運用が確立されていきます。焦らず、長期的な視点で育てていく姿勢が重要です。
まとめ
OKRは、組織と個人の目標を連動させ、全社員が同じ方向を向いて挑戦できる強力な目標管理手法です。GoogleやメルカリなどグローバルIT企業から伝統的な日本企業まで、幅広い組織で成果を上げています。
KPIやMBOとは異なり、60〜70%の達成を想定した挑戦的な目標設定と、1〜3ヶ月という短期サイクルでの見直しが特徴です。人事評価と分離することで、社員が失敗を恐れず新しいことに挑戦できる文化を醸成できます。
導入には適切な難易度設定や透明性の確保、継続的な改善が欠かせません。しかし本質を理解し、自社に合わせてカスタマイズしながら運用すれば、組織の一体感向上とモチベーション向上という大きな成果が期待できるでしょう。
変化の激しい時代だからこそ、明確な目標と柔軟な対応を両立できるOKRの価値は高まっています。まずは小さなチームでパイロット導入し、成功体験を積み重ねながら全社展開を目指してみてはいかがでしょうか。挑戦的な目標に向かって全社員が一丸となる組織づくりの第一歩を、今日から踏み出しましょう。
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