マーケティングフレームワーク16選|目的別の使い方と活用事例を図解で解説【2025最新】

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「マーケティング戦略を立てたいけれど、何から手をつければいいかわからない」
「分析に時間がかかりすぎて、肝心の施策実行が遅れてしまう」

このような悩みを抱えていませんか?

そんな課題を解決するのがマーケティングフレームワークです。フレームワークを使えば、複雑な市場環境や顧客ニーズを体系的に整理でき、意思決定のスピードが格段に上がります。

本記事では、環境分析から戦略立案、施策実行まで使える代表的な16種類のフレームワークを目的別に解説しています。初心者でもすぐに実践できる使い方から、シーン別の組み合わせ方まで、図解を交えてわかりやすく紹介しているので、この記事を読めば、自社のマーケティング活動に即活用できるはずです。

目次

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マーケティングフレームワークとは?

マーケティングフレームワークとは、戦略立案や分析を効率的に進めるための思考の枠組みのことです。ビジネスにおける複雑な課題を、確立された型に当てはめて整理することで、抜け漏れなく素早く全体像を把握できます。

たとえば、「売上を伸ばしたい」という漠然とした課題に対し、何から分析すべきか迷う場面は多いでしょう。フレームワークを使えば、市場・競合・自社の3つの視点から体系的に整理でき(3C分析)、具体的な打ち手が見えてきます。

フレームワークは単なる分析ツールではなく、チーム内の共通言語としても機能します。同じ枠組みで議論することで、認識のズレを防ぎ、スムーズな意思決定が可能になるのです。

マーケティングフレームワークを使う3つのメリット

マーケティングフレームワークを使用するメリットを3つ紹介します。

  • 思考を体系的に整理できる
  • 意思決定のスピードが上がる
  • チーム内のコミュニケーションが円滑になる

それぞれ紹介します。

①思考を体系的に整理できる

フレームワークを活用する最大のメリットは、情報を漏れなくダブりなく整理できる(MECE)ことです。個人の経験や勘に頼った分析では、重要な要素を見落としたり、特定の視点に偏ったりするリスクがあります。

確立された枠組みに沿って分析を進めることで、必要な情報を網羅的にカバーでき、客観的な判断が可能になります。これにより、担当者による分析のバラつきを防ぎ、組織全体で一貫性のある戦略を立案できるでしょう。

②意思決定のスピードが上がる

ゼロから分析方法を考える必要がないため、分析や戦略立案にかかる時間を大幅に短縮できます。フレームワークには、過去の成功事例や理論的な裏付けが凝縮されており、どの情報を集めるべきか、何を検討すべきかが明確です。

急な経営判断が求められる場面でも、適切なフレームワークを選べば短時間で状況を整理できます。経営層への提案や報告も論理的に行えるため、承認プロセスもスムーズに進むでしょう。

③チーム内のコミュニケーションが円滑になる

フレームワークはチームの共通言語として機能し、メンバー間の認識を揃える効果があります。「3C分析で整理しましょう」と言えば、誰もが市場・競合・自社の3つの視点で考えることができ、議論の方向性がブレません。

新しいメンバーへの引き継ぎや、部門を横断したプロジェクトでも、フレームワークを軸にすることで情報共有がスムーズになります。結果として、チーム全体の生産性が向上するのです。

マーケティングフレームワークの4つのデメリットと注意点

前章ではフレームワークのメリットを紹介しましたが、もちろん注意点、デメリットも存在します。

  • 手段と目的が入れ替わってしまう
  • 創造的なアイデアが生まれにくい
  • 適切なフレームワークを選ばないと効果が出ない
  • 定期的にフレームワークを見直さないといけない

メリットだけではなく、デメリットも押さえておかないとマーケティングはうまくはいきません。本章で紹介する内容に注意して戦略を立てましょう。

①フレームワークが目的化してしまう

フレームワークを使う際の最大の落とし穴は、枠を埋めること自体が目的になってしまうことです。分析シートをきれいに完成させても、そこから具体的なアクションにつながらなければ意味がありません。

「SWOT分析をやりました」で満足するのではなく、「分析結果から、どの強みをどう活かすのか」まで落とし込む必要があります。常に「何のためにこのフレームワークを使うのか」という目的意識をもちましょう。

②創造的なアイデアが生まれにくい

既存の型にはめて考えるため、斬新なアイデアや発想が生まれにくいという側面もあります。フレームワークは過去の成功パターンを体系化したものであり、前例のない新しい施策には向かない場合があるのです。

特に創造性や斬新さが重視される場面では、フレームワークに縛られすぎないことが重要です。必要に応じて複数のフレームワークを組み合わせたり、自由な発想の時間を設けたりするなど、柔軟な使い方を心がけましょう。

③適切なフレームワークを選ばないと効果が出ない

すべてのフレームワークが、すべての場面で有効なわけではありません。目的と手段がミスマッチだと、時間をかけても成果につながらないリスクがあります。

たとえば、外部環境を分析したいのにSWOT分析だけを使っても不十分です。また、顧客理解を深めたいのに競合分析ばかりしていても本質には迫れません。

まずは自社の課題や目的を明確にし、それに適したフレームワークを選択することが成功のカギです。

④定期的にフレームワークを見直さないといけない

市場環境や消費者行動、競合状況、技術革新などが絶えず変化しているので、マーケティングフレームワークは定期的な見直しと更新が不可欠です。

一度策定したフレームワークをそのまま使い続けると、現状とのギャップが生じ、意思決定の精度が低下してしまいます。

たとえば、PEST分析で把握した政治・経済環境は数年で大きく変化することはもちろん、SNSの普及により顧客とのコミュニケーション方法も劇的に変化しつつあります。

また、新規参入企業の登場や既存競合の戦略変更も、3C分析の見直しを必要とします。

したがって、最低でも四半期ごと、あるいは重要な環境変化が生じた際には、フレームワークを見直し、最新の状況を反映させることで、マーケティング戦略の実効性を維持できます。

【目的別一覧表】マーケティングフレームワーク16選

マーケティング活動の目的に応じて、使うべきフレームワークは異なります。以下の一覧表で、どの場面でどのフレームワークを使えばよいかを整理しました。

フレームワーク名主な目的使用タイミング難易度
PEST分析環境分析中長期計画策定
新規参入判断
★★☆
5フォース分析環境分析業界構造把握
競争戦略立案
★★★
SWOT分析環境分析自社の現状把握
事業戦略策定
★☆☆
3C分析環境分析既存事業見直し
市場参入判断
★☆☆
バリューチェーン分析環境分析コスト削減
差別化ポイント発見
★★☆
STP分析戦略立案ターゲット選定
ポジショニング
★★☆
4P分析戦略立案マーケティング施策の具体化★☆☆
4C分析戦略立案顧客視点での戦略見直し★★☆
ペルソナ分析顧客分析コンテンツ制作
商品開発
★★☆
カスタマージャーニー顧客分析タッチポイント最適化★★★
RFM分析顧客分析顧客セグメント
CRM施策
★★☆
マーケティングファネル施策検証ボトルネック発見
効果測定
★☆☆
AIDMA/AISAS施策検証広告効果測定
行動設計
★☆☆
PDCAサイクル継続改善すべてのマーケティング活動★☆☆
ロジックツリー思考整理課題の原因特定
施策洗い出し
★★☆
MECE思考整理すべての分析の基礎★★☆

この表を参考に、自社の現状と課題に合わせて最適なフレームワークを選びましょう。次の章からは、各フレームワークの具体的な使い方を詳しく解説していきます。

「環境分析」に使えるフレームワーク5選

環境分析とは、自社の内部および外部の環境を把握し、立ち位置を明確にすることです。市場のトレンドや競合の動き、自社の強み・弱みを客観的に分析することで、戦略の方向性が見えてきます。

  • 3C分析
  • PEST分析
  • 5フォース分析
  • SWOT分析
  • バリューチェーン分析

順に見ていきましょう。

3C分析|市場・競合・自社の関係性を整理

3C分析は、マーケティング戦略の基本中の基本とされる3つの視点で環境を分析する手法です。

3Cとは、Customer(市場・顧客)、Competitor(競合)、Company(自社)を指し、分析の順序は以下が推奨されています。

  • Customer(市場・顧客):市場規模、成長性、顧客ニーズの変化
  • Competitor(競合):競合の戦略、強み・弱み、市場シェア
  • Company(自社):上記を踏まえた自社の強みと成功要因

3C分析の最大のポイントは、顧客視点を最重視することです。自社や競合の分析に偏らず、まず顧客が何を求めているかを深く理解しましょう。そのうえで、競合にはない自社の強みを活かせる領域を見つけることが重要です。

PEST分析|マクロ環境の変化を捉える

PEST分析は、自社を取り巻くマクロ環境を4つの視点から分析する手法です。PESTとは、Politics(政治)、Economy(経済)、Society(社会)、Technology(技術)の頭文字を取ったものです。

各要素では以下のような項目を分析します。

  • Politics(政治):法規制、税制改正、政権交代、国際情勢
  • Economy(経済):景気動向、金利、為替、物価上昇率
  • Society(社会):人口動態、ライフスタイル変化、価値観、流行
  • Technology(技術):技術革新、DX推進、特許、インフラ整備

PEST分析は中長期の事業計画策定や、新規市場への参入判断に特に有効です。外部環境の変化を早期に察知し、脅威を機会に変えるための戦略立案に役立てましょう。

5Force(ファイブフォース)分析|業界の競争環境を理解する

5Force分析は、業界の競争構造を5つの脅威から分析するフレームワークです。自社の収益性に影響を与える要因を体系的に把握できます。

5つの脅威は以下の通りです。

  • 業界内の競争:既存競合との競争激化度
  • 新規参入の脅威:新規参入の容易さ、参入障壁の高さ
  • 代替品の脅威:別の商品・サービスに置き換えられるリスク
  • 買い手の交渉力:顧客の価格交渉力、スイッチングコスト
  • 売り手の交渉力:サプライヤーの価格決定力、代替調達の難易度

この分析により、自社が直面している競争圧力を可視化でき、どこで差別化すべきかが明確になります。業界参入の判断や、競争戦略の立案に活用しましょう。

SWOT分析|内部・外部環境から戦略を導く

SWOT分析は、内部環境と外部環境を4つの要素で整理する最も基本的なフレームワークの1つです。SWOTは、Strength(強み)、Weakness(弱み)、Opportunity(機会)、Threat(脅威)の頭文字です。

内部環境Strength(強み)
自社の優位性、得意分野
Weakness(弱み)
自社の課題、不足しているリソース
外部環境Opportunity(機会)
市場の成長、追い風となる環境変化
Threat(脅威)
競合の台頭、逆風となる環境変化

単に4つの要素を洗い出すだけでなく、クロスSWOT分析で掛け合わせることが重要です。

たとえば「強み×機会」で攻めの戦略を、「弱み×脅威」で守りの戦略を導き出せます。ただし、自社の強みを過大評価しないよう、客観的な視点を忘れないようにしましょう。

バリューチェーン分析|自社の強みを可視化

バリューチェーン分析は、企業活動を主活動と支援活動に分解し、どこで価値を生み出しているかを分析するフレームワークです。

主活動と支援活動は以下のように分類されます。

  • 主活動:購買物流、製造、出荷物流、販売・マーケティング、サービス
  • 支援活動:全般管理、人事・労務管理、技術開発、調達活動

各活動のコストと付加価値を分析することで、自社の競争優位がどこにあるのかを可視化できます。コスト削減の余地がある部分や、さらに強化すべき差別化ポイントが明確になるでしょう。製造業やサービス業で特に有効なフレームワークです。

「戦略立案」に使えるフレームワーク3選

戦略立案とは、環境分析の結果を踏まえ、具体的な方向性や施策を決定する段階です。誰をターゲットにし、どのような価値を提供するのか、どう実現するのかを明確にします。

  • STP分析
  • 4P分析
  • 4C分析

それぞれ紹介します。

STP分析|ターゲット市場を明確にする

STP分析は、現代マーケティングの第一人者フィリップ・コトラーが提唱した、市場を細分化しターゲットとポジションを決めるプロセスです。STPは3つのステップの頭文字です。

  • Segmentation(セグメンテーション):市場を年齢、性別、ライフスタイルなどで細分化
  • Targeting(ターゲティング):細分化した中から狙うべき市場を選定
  • Positioning(ポジショニング):競合と差別化できる自社の立ち位置を明確化

STP分析の成功のカギは、3つのステップの連動性です。セグメントとターゲットが合っていても、ポジショニングが曖昧では顧客に選ばれません。一貫したストーリーで戦略を設計しましょう。

また、自社のブランドを強化するための具体的な方法を、こちらの記事で紹介しています。ブランディングを成功させるための重要性や実践的なステップなどを知りたい方は、あわせて確認してみてください。

4P分析|マーケティング施策を具体化(企業視点)

4P分析は、マーケティング戦略の4つの基本要素を組み合わせるフレームワークです。4Pとは、Product(製品)、Price(価格)、Place(流通)、Promotion(販売促進)を指します。

各要素の検討ポイントは以下の通りです。

要素検討ポイント
Product(製品)機能、デザイン、品質、ブランド、保証
Price(価格)価格設定、割引戦略、支払い条件
Place(流通)販売チャネル、在庫管理、配送方法
Promotion(販売促進)広告、PR、販促キャンペーン、営業活動

4つの要素は相互に影響し合います。高品質な製品には相応の価格設定が必要ですし、プレミアムブランドなら販売チャネルも選ぶべきです。4P全体の一貫性を保つことで、強力なマーケティング戦略が完成します。

4P分析の販促活動に焦点を当てた「プロモーション戦略」についても、別記事で解説しています。具体的な手法と成功事例を紹介していますので、気になる方はぜひチェックしてみてください。

4C分析|マーケティング施策を具体化(顧客視点)

4C分析は、4P分析を顧客視点で捉え直したフレームワークです。企業目線の4Pに対し、4Cは顧客が何を重視するかに焦点を当てます。

4Pと4Cの対応関係は以下の通りです。

4P(企業視点)4C(顧客視点)意味
Product(製品)Customer Value(顧客価値)顧客にとってどんな価値があるか
Price(価格)Cost(顧客コスト)顧客が支払う総コスト(時間・労力含む)
Place(流通)Convenience(利便性)いかに入手しやすいか
Promotion(販促)Communication(対話)双方向のコミュニケーション

4C分析を加えることで、企業の論理ではなく顧客のニーズに基づいた戦略を立案できます。4Pと4Cの両面から検討することで、顧客満足度の高い施策が実現するでしょう。

「顧客分析」に使えるフレームワーク3選

顧客分析とは、ターゲット顧客のニーズ、行動パターン、心理を深く理解するプロセスです。顧客理解が深まるほど、的確なメッセージやサービスを提供できます。

  • ペルソナ分析
  • カスタマージャーニーマップ
  • RFM分析

順に紹介します。

ペルソナ分析|理想の顧客像を具体化

ペルソナ分析は、ターゲットとなる顧客を具体的な1人の人物像として描く手法です。年齢や性別だけでなく、ライフスタイル、価値観、悩みまで詳細に設定します。

設定すべき主な項目は以下の通りです。

  • 基本属性:年齢、性別、居住地、職業、年収、家族構成
  • 行動特性:1日の過ごし方、情報収集方法、よく使うメディア
  • 心理特性:価値観、興味関心、悩み、目標
  • 商品との関係:購買動機、利用シーン、期待する効果

ペルソナ設定のコツは、実在する人物のように具体的にすることです。「30代女性」ではなく「35歳、東京在住、IT企業勤務、独身、健康意識が高い田中さん」というレベルまで落とし込みましょう。チーム全員が同じ顧客像を共有できることが最大の利点です。

カスタマージャーニーマップ|購買プロセスを可視化

カスタマージャーニーマップは、顧客が製品やサービスを認知してから購入、継続利用に至るまでのプロセスを時系列で可視化するツールです。各段階での顧客の行動、感情、接点を整理します。

基本的な構成要素は以下の通りです。

段階顧客の行動感情タッチポイント施策
認知課題に気づく不安、疑問SNS、検索コンテンツ配信
興味情報収集期待、比較Webサイト、口コミ事例紹介
検討比較検討迷い、不安資料請求、問合せ無料体験
購入意思決定期待、緊張購入ページスムーズな決済
継続使用・評価満足/不満サポート、メールフォロー施策

カスタマージャーニーマップを作成すると、どのタイミングでどんな情報を提供すべきかが明確になります。顧客体験の改善ポイントやボトルネックも発見しやすくなるでしょう。

RFM分析|顧客を優良度で分類

RFM分析は、既存顧客を3つの指標でセグメント化し、優良顧客を特定する手法です。RFMは、Recency(最終購入日)、Frequency(購入頻度)、Monetary(購入金額)の頭文字です。

各指標の評価基準は以下のように設定します。

  • Recency(最終購入日):直近で購入しているほど高評価
  • Frequency(購入頻度):購入回数が多いほど高評価
  • Monetary(購入金額):累計購入額が大きいほど高評価

RFM分析により、優良顧客・休眠顧客・新規顧客などに分類でき、各セグメントに最適な施策を打てるようになります。

たとえば、優良顧客には特別なロイヤルティプログラムを、休眠顧客には再購入キャンペーンを実施するなど、効率的なCRM施策が可能です。

ただし、不動産や自動車など購入頻度が低い商品には適さない点に注意しましょう。

「施策実行・検証」に使えるフレームワーク3選

施策の実行・検証段階では、顧客の行動を段階的に捉え、効果を測定しながら改善するフレームワークが有効です。

  • マーケティングファネル
  • AIDMA/AISAS
  • PDCAサイクル

それぞれ見ていきましょう。

マーケティングファネル|見込み客の行動段階を把握

マーケティングファネルは、見込み客が購入に至るまでのプロセスを逆三角形で表現したモデルです。各段階で人数が絞り込まれていく様子が「漏斗(ファネル)」に似ていることから名付けられました。

基本的なファネルの段階は以下の通りです。

  • 認知   :製品・サービスを知る(最も人数が多い)
  • 興味・関心:興味を持ち情報収集を始める
  • 比較・検討:他社と比較し購入を検討
  • 購入   :実際に購入する(最も人数が少ない)

ファネル分析により、どの段階で多くの見込み客が離脱しているかを特定できます。

たとえば「比較・検討から購入」への転換率が低ければ、価格や購入プロセスに課題があると推測できるでしょう。各段階のKPIを設定し、ボトルネックを改善することで全体のコンバージョン率が向上します。

AIDMA/AISAS|消費者行動モデルを理解

AIDMA(アイドマ)とAISAS(アイサス)は、消費者の購買行動プロセスをモデル化したフレームワークです。時代や購買環境によって使い分けます。

2つのモデルの違いは以下の通りです。

AIDMA(従来型)AISAS(インターネット時代)
Attention(注意)Attention(注意)
Interest(興味)Interest(興味)
Desire(欲求)Search(検索) ← 追加
Memory(記憶)Action(行動)
Action(行動)Share(共有) ← 追加

AIDMAは1920年代に提唱された伝統的なモデルで、住宅や自動車など高額商品に有効です。

一方、AISASはインターネット時代に対応したモデルで、購入前に検索し、購入後にSNSで共有する行動を含みます。自社の商品特性や顧客の購買環境に合わせて選びましょう。

PDCAサイクル|継続的な改善を実現

PDCAサイクルは、継続的に施策を改善していくための最も基本的なフレームワークです。PDCAは、Plan(計画)、Do(実行)、Check(評価)、Action(改善)の頭文字です。

各ステップの内容は以下の通りです。

  • Plan(計画):目標設定、仮説立案、施策設計
  • Do(実行):計画に基づいた施策の実施
  • Check(評価):結果の測定、目標との比較、原因分析
  • Action(改善):改善策の立案、次のPlanへ反映

PDCAで重要なのは、高速で何度も回すことです。完璧な計画を目指して時間をかけるより、70%の精度で素早く実行し、結果を見て修正する方が成果につながります。また、Check(評価)を軽視せず、データに基づいた客観的な振り返りを行いましょう。

「思考整理」に使えるフレームワーク2選

思考整理のフレームワークは、複雑な情報や課題を構造的に整理し、論理的な判断を支援するツールです。

  • MECE
  • ロジックツリー

それぞれ紹介します。

MECE|漏れとダブりを防ぐ

MECEは、「Mutually Exclusive and Collectively Exhaustive」の略で、「漏れなく、ダブりなく」情報を整理する考え方です。すべてのフレームワークの基礎となる重要な概念といえます。

MECEの良い例と悪い例を比較してみましょう。

悪い例(MECEでない)良い例(MECE)
顧客を「OL」「主婦」で分類
→ 学生やフリーターが漏れ、兼業主婦が重複
顧客を「10代」「20代」「30代」…で分類
→ すべての年齢をカバー、重複なし

MECEを実現する切り口には、時間軸(過去・現在・未来)、プロセス(順序)、対比概念(内部・外部)などがあります。

他のフレームワークを使う際も、常にMECEを意識することで分析の質が格段に上がるでしょう。

ロジックツリー|問題を構造的に分解

ロジックツリーは、問題や課題をツリー状に分解し、構造的に整理するフレームワークです。大きな課題を小さな要素に分けることで、根本原因や具体的な解決策が見えてきます。

ロジックツリーには3つの種類があります。

  • Whatツリー:「何が」問題なのかを要素分解(例:売上 = 客数 × 客単価)
  • Whyツリー:「なぜ」問題が起きているのか原因を深掘り
  • Howツリー:「どうやって」解決するか施策を洗い出し

ロジックツリー作成のポイントは、MECE(漏れなくダブりなく)を意識することです。各階層で要素を分解する際、すべてをカバーしつつ重複がないように整理しましょう。可視化することでチーム内の議論も活性化します。

【5STEP】マーケティングフレームワークの効果的な使い方

フレームワークを最大限活用するには、正しい手順で進めることが重要です。以下の5ステップを意識しましょう。

  1. 目的を明確にする
  2. 適切なフレームワークを選択する
  3. 必要な情報を収集する
  4. 客観的に分析する
  5. 具体的なアクションに落とし込む

順に紹介します。

STEP1:目的を明確にする

フレームワークを選ぶ前に、「何のために使うのか」「どんな意思決定につなげるのか」を明確にしましょう。目的が曖昧なまま分析を始めても、結果を活かせません。

たとえば「新規事業の参入判断」なのか「既存事業の改善」なのかで、使うべきフレームワークは変わります。チーム内で目的を共有し、ゴールイメージを揃えることから始めましょう。

STEP2:適切なフレームワークを選択する

目的が明確になったら、それに最適なフレームワークを選びます。本記事で紹介した一覧表を参考に、目的別に選択しましょう。

複数のフレームワークを組み合わせることも効果的です。

たとえば、環境分析にPEST分析と3C分析を併用すれば、マクロ環境とミクロ環境の両方を押さえられます。ただし、使いすぎると焦点がぼやけるため、3〜4個程度のフレームワークに絞るのが現実的です。

STEP3:必要な情報を収集する

フレームワークの各要素を埋めるために、必要なデータや情報を収集します。一次情報(自社データ、顧客インタビュー)と二次情報(業界レポート、統計データ)を組み合わせましょう。

情報収集の際は、信頼性の高いソースを選ぶことが重要です。公的機関の統計データ、業界団体のレポート、信頼できる調査会社のデータなどを優先的に活用してください。

STEP4:客観的に分析する

情報が揃ったら、客観的な視点で分析を進めます。自社に都合の良い解釈や、希望的観測を排除することが重要です。

可能であれば、複数人で分析を実施しましょう。1人で行うと主観が入りやすく、重要な視点を見落とすリスクがあります。異なる部署のメンバーを交えることで、多角的な分析が可能になります。

STEP5:具体的なアクションに落とし込む

分析結果から、具体的な施策やアクションプランを導き出します。これがフレームワーク活用の最終ゴールです。

「SWOT分析で強みと機会が見えた」だけで終わらせず、「その強みを活かして、この機会をどう捉えるのか」まで明確にしましょう。実行計画には、担当者、期限、KPIを設定し、確実に行動に移せる状態にすることが成功のカギです。

【シーン別】おすすめフレームワークの組み合わせ

実務では、複数のフレームワークを組み合わせることで効果が高まります。代表的な3つのシーン別に、おすすめの組み合わせを紹介します。

  • 新規事業立ち上げ時
  • 既存事業の見直し時
  • マーケティング戦略策定時

自社の状況に当てはまる際はぜひ参考にしてみてください。

新規事業立ち上げ時

新規事業を立ち上げる際は、外部環境の把握から戦略立案まで体系的に進める必要があります。以下の流れがおすすめです。

  1. PEST分析:マクロ環境のトレンドと機会を把握
  2. 3C分析:市場・競合・自社の関係性を整理
  3. STP分析:ターゲット市場とポジショニングを明確化
  4. 4P/4C分析:具体的なマーケティング施策を設計

この順序で進めることで、大局的な視点から具体的な施策まで、漏れなく戦略を立案できます。特に新規参入では市場環境の理解が重要なため、PEST分析から始めるのが効果的です。

既存事業の見直し時

既存事業の課題発見や改善には、内部環境の分析と顧客理解がカギとなります。以下の組み合わせが有効です。

  • SWOT分析:自社の強み・弱みと外部環境を整理
  • 3C分析:競合との比較で課題を明確化
  • カスタマージャーニー:顧客体験のボトルネックを発見
  • PDCAサイクル:改善施策を継続的に実施・検証

既に事業が動いている場合は、現状の課題を可視化することが最優先です。SWOT分析で全体像を掴み、カスタマージャーニーで具体的な改善点を見つけましょう。

マーケティング戦略策定時

包括的なマーケティング戦略を策定する際は、環境分析→戦略立案→実行という全体フローを意識します。

推奨フレームワークの流れとしては下記です。

  • 環境分析:PEST分析 + 3C分析 + SWOT分析
  • 戦略立案:STP分析 → 4P/4C分析
  • 実行・検証:マーケティングファネル + PDCAサイクル

この流れで進めることで、市場環境の理解から具体的な施策実行、そして継続的な改善まで、一貫した戦略を構築できます。各段階の分析結果を次の段階に繋げることを意識しましょう。

マーケティング戦略の全体像は、こちらの記事で紹介しています。戦略立案の基本的な流れを知りたい方は、ぜひ確認してみてください。

マーケティングフレームワークに関するよくある質問

フレームワーク活用に関して、よく寄せられる質問にお答えします。

  1. 初心者はどのフレームワークから始めるべき?
  2. フレームワークを使えば必ず成果が出る?
  3. すべてのフレームワークを覚える必要がある?
  4. BtoB とBtoCで使うフレームワークは違う?
  5. フレームワークを使った分析にかける時間の目安は?

同じような疑問をお持ちの方はぜひ参考にしてください。

Q1.初心者はどのフレームワークから始めるべき?

A. 3C分析とSWOT分析から始めるのがおすすめです。

この2つはシンプルで理解しやすく、汎用性が高いため、どんな業界・業種でも活用できます。3C分析で市場・競合・自社の関係性を整理し、SWOT分析で自社の強み・弱みと外部環境を把握すれば、基本的な現状把握が完了します。まずはこの2つをマスターし、慣れてきたら他のフレームワークに挑戦しましょう。

Q2.フレームワークを使えば必ず成果が出る?

A. フレームワークはあくまでツールであり、使うだけでは成果は出ません。

重要なのは、分析結果を基にした具体的な実行と継続的な改善です。どんなに優れた分析をしても、施策を実行しなければ何も変わりません。

また、一度実行して終わりではなく、PDCAサイクルを回して改善を続けることが成果につながります。フレームワークは思考を整理し意思決定を支援するツールであることを忘れず、マーケティング活動に活用してください。

Q3.すべてのフレームワークを覚える必要がある?

A. すべて覚える必要はなく、目的別に使い分けられれば十分です。

まずは本記事で紹介した中から、基本的な5〜8個をマスターしましょう。具体的には、3C、SWOT、STP、4P、PEST、カスタマージャーニー、PDCAあたりが汎用性が高くおすすめです。すべてを完璧に使いこなすより、自社の課題に合ったものを深く理解し、実務で使えるレベルにすることが重要です。

Q4.BtoB とBtoCで使うフレームワークは違う?

A. 基本的なフレームワークは共通ですが、顧客分析の深さや重視する点が異なります。

BtoBでは、意思決定プロセスが複雑で複数の関係者が関わるため、カスタマージャーニーがより長く詳細になります。また、顧客数が限られるため、RFM分析よりもABM(アカウントベースドマーケティング)的なアプローチが有効な場合も。一方、BtoCは顧客数が多く、ペルソナ分析やマーケティングファネルが重要度を増します。業態に合わせて強調する部分を調整しましょう。

Q5.フレームワークを使った分析にかける時間の目安は?

A. 規模にもよりますが、完璧を目指さず70%の精度で動くことを優先しましょう。

小規模なプロジェクトなら1〜2日、中規模なら1週間程度が目安です。重要なのは、分析に時間をかけすぎないことです。市場は常に変化しているため、完璧な分析を目指して数ヶ月かけるより、ある程度の精度で素早く実行し、結果を見ながら修正する方が成果につながります。まずは70%の完成度で動き、PDCAサイクルで精度を高めていく姿勢が大切です。

まとめ

本記事では、マーケティング活動を効率化し成果を高める16種類のフレームワークを目的別に紹介しました。

フレームワークは、複雑な市場環境や顧客ニーズを体系的に整理し、意思決定を加速する強力なツールです。環境分析にはPEST・3C・SWOT、戦略立案にはSTP・4P・4C、顧客理解にはペルソナ・カスタマージャーニー、そして継続改善にはPDCAと、目的に応じて使い分けることで最大の効果を発揮します。

ただし、フレームワークはあくまで手段であり、使うこと自体が目的ではありません。最も重要なのは、分析結果から具体的なアクションを導き出し、実行することです。

たとえば、4P分析のPromotion(販売促進)を具体化する際は、効果的なプロモーション手法の理解が不可欠です。理解することでより実践的な施策設計ができるでしょう。

また、STP分析にてPositioning(ポジショニング)を確立し、自社の独自性を市場に浸透させるには、ブランディング戦略も重要です。

自社ブランディングを強化する具体的な方法や成功事例を参考にすることで、フレームワークで描いた戦略を実際のブランド価値向上に繋げられます。

プロモーションの手法やブランディング戦略についても下記にて紹介しているので、フレームワークを知ったうえで、実行手段についても知見を深めたい方はぜひ参考にしてみてください。

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