SWOT分析とは?やり方から具体例までわかりやすく徹底解説

「自社の現状を把握したいけれど、どこから手をつければいいかわからない…」
「新規事業を始めたいが、成功できるか不安だ」
「競合との差別化ができず、戦略が立てられない」
このような悩みを抱えているなら、SWOT分析を行うのがおすすめです。
SWOT分析とは、自社の「強み・弱み・機会・脅威」を整理し、効果的な経営戦略を立案するためのフレームワークです。この記事では、SWOT分析の基本から具体的なやり方、企業事例、成功のポイントまでを初心者にもわかりやすく解説します。
本記事を最後まで読めば、自社の現状を客観的に把握し、競争優位性のある戦略を立案できるようになります。ぜひ実践に役立ててください。
目次
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SWOT分析とは?

SWOT分析(スウォット分析)とは、企業や事業の現状を把握し、効果的な戦略を立案するためのフレームワークです。
「Strength(強み)」「Weakness(弱み)」「Opportunity(機会)」「Threat(脅威)」の4つの頭文字を取って名付けられました。
内部環境である強み・弱みと、外部環境である機会・脅威をマトリクス形式で整理することで、自社の立ち位置を客観的に分析できます。
1960年代に提唱されて以来、50年以上にわたり多くの企業で活用されている実績のある手法です。
| 分類 | プラス要因 | マイナス要因 |
|---|---|---|
| 内部環境(コントロール可能) | Strength(強み) | Weakness(弱み) |
| 外部環境(コントロール不可) | Opportunity(機会) | Threat(脅威) |
SWOT分析は、新規事業の立ち上げや既存事業の見直し、マーケティング戦略の策定など、さまざまな場面で活用できます。
SWOT分析の重要性・目的
SWOT分析を行う最大の目的は、効果的な経営戦略やマーケティング戦略の立案です。ビジネスで成功するには、自社の強みや弱み、市場の動向、競合の状況を正確に把握することが不可欠となります。
SWOT分析は、複雑な経営環境を4つの要素に整理することで、現状を可視化し、戦略の方向性を明確にします。また、単なる現状分析にとどまらず、後述する「クロスSWOT分析」を活用すれば、具体的なアクションプランまで導き出せるのです。
【主な活用目的】
- 新規事業の可能性とリスクの評価
- 既存事業の改善点の発見
- 競合優位性の確立
- 市場機会の発見と活用
さらに、分析結果を関係者間で共有すれば、組織全体で共通認識を持ち、同じ方向を向いて戦略を実行できます。
SWOT分析の4つの要素について
ここでは、SWOT分析の各要素の定義と具体例を詳しく解説します。
- Strength(強み)
- Weakness(弱み)
- Opportunity(機会)
- Threat(脅威)
分析を行う際は、これらの要素を混同しないよう注意しましょう。
Strength(強み)
Strength(強み)とは、自社がもつ競争優位性や他社との差別化要因を指します。内部環境におけるプラス要因であり、自社でコントロールできる要素です。
強みを正確に把握することで、それを最大限に活用した戦略を立案できます。顧客視点で「なぜ自社が選ばれているのか」を考えると、見つけやすくなります。
【強みの具体例】
- 高い技術力や特許
- ブランド力・市場認知度
- 顧客満足度の高さ
- 豊富な人材やノウハウ
- 優れた立地条件
- 財務体質の健全性
- サービスの品質・スピード
強みを分析する際は、競合他社と比較して客観的に評価することが重要です。数値データがあれば、より説得力のある分析になります。
また、下記記事では、認知度向上施策の詳細もまとめています。知名度との違いや重要性、施策の具体事例までまとめていますので、気になる方は参考にしてみてください。
Weakness(弱み)
Weakness(弱み)とは、目標達成の障害となる自社の課題や、競合と比較して劣っている点を指します。内部環境におけるマイナス要因であり、自社の努力次第で改善できる要素です。
弱みを正確に把握すれば、改善すべき優先順位が明確になり、企業成長につながる施策を立てられます。重要なのは、弱みを認識することを恐れず、客観的に向き合う姿勢です。
【弱みの具体例】
- 資金力・予算の不足
- 人材不足やスキル不足
- 生産能力の低さ
- 認知度・ブランド力の低さ
- 技術力の遅れ
- 高コスト体質
- 組織内のコミュニケーション不足
注意点として、弱みと脅威を混同しないことが挙げられます。弱みは内部要因のため改善可能ですが、脅威は外部要因のため自社だけでは変えられません。
以下の記事では、ブランディングの基本と具体的なやり方を詳しく解説しています。他社との差別化要因として、ブランド力は重要な要素なので、気になる方はぜひチェックしてみてください。
Opportunity(機会)
Opportunity(機会)とは、外部環境の変化やトレンドがもたらす、自社にとって有利なビジネスチャンスを指します。外部環境におけるプラス要因であり、自社ではコントロールできない要素です。
機会を適切に捉えて戦略に組み込めば、事業の成長や市場シェアの拡大が期待できます。市場調査や業界動向の分析を通じて、機会を見逃さないことが重要です。
【機会の具体例】
- 市場規模の拡大・成長
- 新技術やイノベーションの登場
- 法規制の緩和
- 競合他社の撤退・縮小
- 消費者ニーズの変化
- 経済成長による需要増加
- デジタル化・DXの進展
機会を分析する際は、強みと混同しないよう注意しましょう。強みは自社内部の要素ですが、機会は市場や社会などの外部要因です。
Threat(脅威)
Threat(脅威)とは、外部環境が企業にもたらすマイナスの要因を指します。目標達成を妨げる可能性のあるリスクや障害であり、自社ではコントロールできない要素です。
脅威を的確に認識すれば、リスク管理や対策の立案が可能となり、企業の持続可能性を高められます。また、脅威を機会に変える視点をもつことも重要です。
【脅威の具体例】
- 競合他社の台頭・参入
- 市場規模の縮小
- 経済不況・景気悪化
- 法規制の強化
- 消費者ニーズの変化
- 原材料価格の高騰
- 自然災害・パンデミック
- 技術革新による既存技術の陳腐化
脅威は自社の努力だけでは解決できないケースが多いため、影響を最小限に抑える戦略や、場合によっては撤退も視野に入れた判断が必要です。
SWOT分析の4つのメリット
SWOT分析には、企業の戦略立案や意思決定を支援する多くのメリットがあります。内部環境と外部環境の両面から現状を整理することで、客観的な視点が得られ、効果的な戦略につながります。
ここでは、SWOT分析を活用することで得られる4つの主要なメリットを解説します。
- 現状の客観的な分析ができる
- 自社にとって最適な戦略が立案できる
- 気づけなかった課題を見つけやすくなる
- 攻めと守りの戦略を検討できる
順に見ていきましょう。
①現状の客観的な分析ができる
SWOT分析の最大のメリットは、自社の現状を客観的に把握できることです。内部環境と外部環境を体系的に整理することで、主観的な偏りを排除し、企業の全体像を俯瞰的に捉えられます。
分析結果を視覚的にまとめれば、社内での情報共有がスムーズになり、経営層から現場まで共通認識をもちやすくなります。その結果、組織全体が同じ目標に向かって協力しながら戦略を実行できるのです。
【客観的分析の効果】
- 思い込みや先入観を排除できる
- 見落としていた課題の発見
- データに基づく合理的な意思決定
- ステークホルダー間での認識統一
また、複数の部署や立場の異なるメンバーで分析を行えば、より多角的で精度の高い現状把握が可能になります。
②自社にとって最適な戦略が立案できる
SWOT分析を通じて自社の強みが明確になると、それを最大限に活用する戦略を立案できます。特に、強みと機会を組み合わせることで、競争優位性が高まる施策を検討できるのです。
たとえば、高い技術力(強み)と市場の成長(機会)を掛け合わせれば、成長市場向けの新製品開発という戦略が導き出せます。
また、強みと脅威を組み合わせれば、リスクに対処しつつ差別化を図る戦略も策定可能です。
このように、4つの要素を掛け合わせる「クロスSWOT分析」により、自社の状況に最適化された実効性の高い戦略を立案できます。単なる現状分析で終わらず、具体的なアクションにつながるのが大きな特徴です。
③気づけなかった課題を見つけやすくなる
既存事業が停滞している場合、どこから改善を始めるべきか迷うことがあります。SWOT分析を活用すれば、外部環境と内部環境を事実として書き出すことで、これまで気づかなかった課題や改善のヒントを見つけやすくなるのです。
弱みの分析を通じて「人材不足」という課題が明確になれば、採用強化や業務効率化といった具体的な改善策を検討できたり、機会の分析から「デジタル化の進展」を発見すれば、IT投資による競争力を強化できたりと、方向性が見えてきます。
4つの要素を体系的に整理することで、漠然とした不安や課題が具体化され、優先順位をつけて取り組めるようになります。これにより、限られたリソースを効果的に配分できるのです。
④攻めと守りの戦略を検討できる
SWOT分析では、プラス要素である「強み」「機会」だけでなく、マイナス要素である「弱み」「脅威」も同時に分析します。これにより、攻めの戦略と守りの戦略を同時に検討できるのが大きな特徴です。
たとえば、「高品質」という強みと「需要増加」という機会を活かして積極的にPRする一方で、「生産力不足」という弱みと「市場縮小」という脅威が重なる場合は、事業継続の是非を慎重に判断できます。
【バランスの取れた戦略立案】
- リスクの早期発見と対策
- 機会損失の防止
- 持続可能な成長戦略
- 撤退判断の明確化
このように、多角的な視点で分析することで、リスクを抑えながら新たなビジネスチャンスを掴める戦略を立案できます。
SWOT分析の3つのデメリット
SWOT分析は有用なフレームワークですが、いくつかの注意すべきデメリットも存在します。これらを理解したうえで活用することで、より効果的な分析が可能になります。
ここでは、SWOT分析の主なデメリットとして、
- 両面性を持つ要素の分類が難しい
- 分析者の主観的な判断が入りやすい
- 定期的に見直す必要がある
の3つと、それぞれの対処法について見ていきましょう。
①両面性をもつ要素の分類が難しい
SWOT分析のデメリットの1つは、複雑な要素や多面的な性質をもつ要因を4つに分類しきれない点です。ある要素が状況によって「強み」とも「弱み」とも解釈できたり、内部環境と外部環境の境界が曖昧だったりする場合があります。
具体的には、特定の技術が自社の強みである一方で、その維持コストが高いため弱みともなり得るケースです。また、「少数精鋭の組織」は意思決定の速さという強みになる反面、人材不足という弱みにもなります。
【対処法】
- 両面性のある要素は両方に記載する
- 分析の目的や前提条件を明確にする
- 複数の視点から議論を重ねる
- 無理に分類せず保留する選択肢ももつ
曖昧な要素を無理に分類すると、分析結果が偏り、適切な戦略立案を妨げる恐れがあります。
②分析者の主観的な判断が入りやすい
SWOT分析は、分析者の主観が入りやすい手法でもあります。特に「強み」や「弱み」の評価は、個人の経験や価値観、所属部署によって大きく左右されるため、結果が偏るリスクがあるのです。
たとえば、ある部署では自社製品の品質を強みと捉えていても、別の部署ではコストの高さを弱みと感じている場合があります。このような主観的な判断のズレが、分析の精度を下げてしまいます。
【対処法】
- 客観的なデータや数値を活用する
- 複数の視点をもつメンバーで分析する
- 顧客や外部の第三者の意見を取り入れる
- 競合との比較データを用いる
主観を完全に排除することは難しいですが、可能な限り客観的な事実とデータに基づいた分析を心がけることが重要です。
③定期的に見直す必要がある
SWOT分析は、特定の時点での内部および外部環境を評価するため、環境の変化に伴い分析結果が古くなってしまいます。
市場動向や競合状況、技術革新などは常に変化しており、定期的に情報を更新しなければなりません。
これを怠ると、過去の情報に基づいた誤った戦略を立ててしまうリスクがあります。特に変化の激しい業界では、数ヶ月で状況が大きく変わることも珍しくありません。
【対処法】
- 定期的な見直しサイクルを設定する(四半期ごとなど)
- 市場環境の大きな変化があった際は随時更新する
- 最新の業界レポートやニュースを常にチェックする
- 分析結果に作成日を明記し、古い情報の利用を防ぐ
SWOT分析は「一度やれば終わり」ではなく、継続的にアップデートしていく必要があると理解しておきましょう。
【4STEP】SWOT分析の具体的なやり方
SWOT分析を効果的に実施するには、正しい手順を踏むことが重要です。ここでは、初心者でも実践できる4つのステップを詳しく解説します。
- 目的の明確化
- 外部環境の分析(機会・脅威)
- 内部環境の分析(強み・弱み)
- クロスSWOT分析での戦略立案
各ステップを丁寧に進めることで、精度の高い分析と実効性のある戦略立案が可能になります。順に見ていきましょう。
STEP1:目的の明確化
SWOT分析を始める前に、まず明確な目的を設定しましょう。「なんとなく現状を把握したい」といった曖昧な目的では、議論がブレてしまい、効果的な戦略につながりません。
具体的な数値目標を設定することで、焦点が絞られ、共通の目的に向けて分析を進められます。
「既存事業のコストを20%削減する」
「市場シェアを1年で10%拡大する」
といった具体性が重要です。
【目的設定の質問例】
- この分析で何を達成したいのか?
- どの事業・製品・サービスに焦点を当てるのか?
- 分析結果をどのように活用する予定か?
- 誰が最終的な意思決定を行うのか?
目的が明確になれば、それに基づいて必要な情報を収集し、SWOT分析用のテンプレートを準備します。メンバー全員で目的を共有することも忘れないでください。
STEP2:外部環境の分析(機会・脅威)
最初に外部環境の分析から始めましょう。内部環境は外部環境の影響を受けるため、先に外部要因を把握することで、より正確な内部環境の分析が可能になります。
外部環境には、市場規模、競合の動向、経済状況、法規制、技術革新、消費者ニーズなどが含まれます。これらを「機会」と「脅威」の観点から整理していきます。
【外部環境分析に役立つフレームワーク】
- PEST分析:政治・経済・社会・技術の4要素からマクロ環境を分析
- ファイブフォース分析:業界の競争構造を5つの要因から分析
- 3C分析:市場・競合・自社の関係性を分析
これらのフレームワークを活用すれば、より網羅的に外部環境を把握できます。情報収集には、業界レポート、統計データ、ニュース記事などの信頼性の高い情報源を活用しましょう。
STEP3:内部環境の分析(強み・弱み)
外部環境の分析が完了したら、次に内部環境の分析を行います。自社が直接コントロールできる要素である強みと弱みを洗い出していきます。
重要なのは、主観的に判断せず、外部環境や競合状況を踏まえて客観的に評価することです。数値データや顧客アンケート結果などを活用すると、より正確な分析が可能になります。
【内部環境の分析項目例】
- 人材(数・質・スキル)
- 技術力・研究開発力
- 財務状況(資金力・収益性)
- ブランド力・認知度
- 製品・サービスの品質
- 価格競争力
- 立地条件
- 顧客基盤
各部署から情報を集め、営業・開発・財務など異なる視点を取り入れることで、見落としを防げます。また、競合他社との比較分析も効果的です。
STEP4:クロスSWOT分析での戦略立案
4つの要素を洗い出したら、最後にクロスSWOT分析を実施します。SWOT分析で挙げた内容はあくまで現状の整理であり、そのままでは戦略にはなりません。
各要素を掛け合わせることで、具体的な実行可能な戦略を導き出します。強み×機会、強み×脅威、弱み×機会、弱み×脅威の4パターンで戦略を検討し、当初設定した目的に落とし込んでいくのです。
【クロスSWOT分析の4つの戦略】
| 強み×機会 | 積極的な成長戦略(最優先) |
| 強み×脅威 | 差別化による脅威回避戦略 |
| 弱み×機会 | 弱み改善によるチャンス獲得戦略 |
| 弱み×脅威 | リスク最小化・防衛・撤退戦略 |
すべての戦略を同時に実行する必要はありません。自社のリソースや市場状況を踏まえ、優先順位をつけて実行していきましょう。
SWOT分析と併用すべき4つのフレームワーク
SWOT分析をより効果的に活用するには、他のフレームワークと併用することが推奨されます。各フレームワークには得意分野があり、組み合わせることで分析の精度が大きく向上します。
ここでは、SWOT分析と相性の良いフレームワークとして、
- PEST分析
- 3C分析
- 4P分析
- STP分析
の4つを紹介します。
PEST分析(外部環境のマクロ分析)

PEST分析とは、Politics(政治)、Economy(経済)、Society(社会)、Technology(技術)の4つの要素から、自社を取り巻くマクロ環境を分析する手法です。SWOT分析の外部環境、特に機会と脅威を洗い出す際に非常に有効です。
PEST分析を先に実施することで、業界や市場に影響を与える大きなトレンドを把握でき、SWOT分析の精度が向上します。
【PEST分析の4要素】
- Politics(政治):法規制、税制、政治的安定性、貿易政策など
- Economy(経済):景気動向、金利、為替、物価、雇用状況など
- Society(社会):人口動態、ライフスタイル、価値観の変化、教育水準など
- Technology(技術):技術革新、研究開発、自動化、デジタル化など
たとえば、少子高齢化(Society)やDXの進展(Technology)といったマクロトレンドを把握してから、それが自社にとって機会か脅威かをSWOT分析で整理すると効果的です。
3C分析(市場・競合・自社の分析)

3C分析とは、Customer(市場・顧客)、Competitor(競合)、Company(自社)の3つの視点から現状を分析するフレームワークです。SWOT分析を行う前段階で実施すると、市場環境の理解が深まります。
3C分析で市場のニーズ、競合の動向、自社の現状を整理してから、SWOT分析で強み・弱み・機会・脅威に分類すると、より体系的な分析が可能です。
【3C分析の3要素】
- Customer(市場・顧客):市場規模、成長性、顧客ニーズ、購買行動など
- Competitor(競合):競合他社の戦略、強み・弱み、市場シェアなど
- Company(自社):自社の経営資源、能力、強み・弱みなど
特に、競合他社の分析を通じて相対的な自社の強み・弱みを明確にできる点が、SWOT分析と相性が良い理由です。
4P分析(マーケティングミックス)

4P分析とは、Product(製品)、Price(価格)、Place(流通)、Promotion(販促)の4つの要素から、自社のマーケティング戦略を分析する手法です。SWOT分析の内部環境、特に強みと弱みを整理する際に有効です。
4P分析を通じて自社の製品やサービスを詳細に分析することで、何が強みで何が弱みかを明確にできます。
【4Pの要素】
- Product(製品):品質、デザイン、機能、ブランドなど
- Price(価格):価格設定、支払い条件、割引など
- Place(流通):販売チャネル、物流、立地など
- Promotion(販促):広告、PR、セールスプロモーションなど
たとえば、「高品質な製品」は強み、「価格が高い」は弱みとしてSWOT分析に反映できます。マーケティング視点から自社を分析することで、より実践的な戦略につながります。
STP分析(戦略立案への展開)

STP分析とは、Segmentation(市場細分化)、Targeting(ターゲット選定)、Positioning(ポジショニング)の3つのステップで、マーケティング戦略を立案する手法です。SWOT分析で導き出した戦略を、より具体的なアクションプランに落とし込む際に活用します。
SWOT分析が「何をすべきか」の方向性を示すのに対し、STP分析は「誰に、どのように」を明確にします。
【STPの3ステップ】
- Segmentation(市場細分化):市場をニーズや特性で分類
- Targeting(ターゲット選定):最も魅力的なセグメントを選択
- Positioning(ポジショニング):競合との差別化ポイントを明確化
もしSTP分析で、「高い技術力を活かして成長市場に参入する」という戦略が導かれたら、STP分析で「具体的なターゲット顧客や差別化ポイント」を決定していく形となります。
SWOT分析の具体例・企業事例3選
SWOT分析の理解を深めるため、実際の企業を例に分析してみましょう。ここでは、Apple、マクドナルド、トヨタ自動車の3社を取り上げ、各要素とクロスSWOT分析から導かれる戦略を解説します。
これらの事例を参考に、自社の分析に活かしてください。
事例1:AppleのSWOT分析
Appleは、iPhone、iPad、Macなどのデジタルデバイスを開発・販売する世界的なIT企業です。圧倒的なブランド力と革新的な製品で知られています。
SWOT分析をしてみると下記のような形となります。
| 項目 | 分類 | 詳細内容 |
|---|---|---|
| 強み (Strength) | ブランド/デザイン | 世界トップクラスのブランド力と顧客ロイヤリティ優れたデザインと使いやすさ |
| 製品/市場 | 豊富な製品ラインナップ(iPhone、iPad、Mac、Apple Watch) ウェアラブル市場(身に付けて使用する電子機器の市場)での先行優位性 エコシステムの開発・導入 | |
| 財務 | 強固な財務基盤 | |
| 弱み (Weakness) | 価格/市場 | 高価格帯による市場の限定 |
| 収益構造 | 特定製品(iPhone)への収益依存 | |
| 事業領域 | スマートスピーカー市場でのシェア低迷 | |
| 機会 (Opportunity) | 市場成長 | スマートフォンアプリ市場の継続的成長 デジタル化・リモートワーク・ヘルスケアシステムの進展 |
| 提携/新規 | 大手キャリアとの提携拡大電気自動車市場への参入可能性 | |
| 脅威 (Threat) | 競合/市場 | 競合他社(Samsung、Google等)の追い上げ スマートフォン市場の成熟化 |
| 海外動向 | 中国市場での規制強化 | |
| 戦略 (Strategy) | S × O (積極) | Apple Watchなどのウェアラブル製品をさらに強化し、ヘルスケア市場での地位を確立 |
| S × T (差別化) | 高品質とエコシステムの強みで競合との差別化を図る |
事例2:マクドナルドのSWOT分析
マクドナルドは、世界中に展開する大手ファストフードチェーンです。圧倒的な店舗数とブランド認知度を誇ります。では、SWOT分析の簡易的な一例を見ていきましょう。
| 項目 | 分類 | 詳細内容 |
|---|---|---|
| 強み (Strength) | ブランド/規模 | 世界的なブランド認知度 広範な店舗ネットワーク |
| 効率/価格 | 高度なオペレーション効率 低価格戦略 | |
| 商品開発 | 継続的な商品開発力 | |
| 弱み (Weakness) | 収益/イメージ | 低単価による利益率の低さ 一部消費者からの低品質イメージ |
| トレンド | 健康志向トレンドへの対応遅れ | |
| 機会 (Opportunity) | 市場成長 | フードデリバリー市場の急拡大 新興国市場での拡大余地 |
| デジタル化 | デジタル化(モバイルオーダー、キャッシュレス決済)の進展 | |
| 経済 | 経済不況時の低価格ニーズ増加 | |
| 脅威 (Threat) | 競合 | 健康志向ファストフード店の台頭 コンビニのコーヒー・軽食の充実 |
| コスト | 原材料価格の高騰 人件費の上昇 | |
| 戦略 (Strategy) | S × O (積極) | デリバリーサービスとデジタル化を強化し、利便性を高める |
| W × O (改善) | ヘルシーメニューの拡充で健康志向の顧客を取り込む戦略が有効 |
事例3:トヨタ自動車のSWOT分析
トヨタ自動車は、世界有数の自動車メーカーであり、高い生産技術と品質管理で知られています。では、簡易的なSWOT分析の例を見ていきましょう。
| 項目 | 分類 | 詳細内容 |
|---|---|---|
| 強み (Strength) | 生産/技術 | 世界トップクラスの生産技術(トヨタ生産方式) ハイブリッド技術での先行優位性 |
| ブランド/財務 | 高いブランド力と信頼性 強固な財務基盤 | |
| ネットワーク | グローバルな販売ネットワーク | |
| 弱み (Weakness) | 技術/製品 | 純EV(電気自動車)技術への対応遅れ |
| 組織/市場 | 保守的な企業文化によるスピード感の欠如 特定市場(日本・北米)への依存 | |
| 機会 (Opportunity) | 環境/トレンド | 環境規制強化によるエコカー需要増加 CASE(コネクテッド・自動運転・シェアリング・電動化)への対応 |
| 市場/技術 | 新興国市場での需要拡大 水素エネルギー技術の発展 | |
| 脅威 (Threat) | 競合/規制 | テスラ等の新興EVメーカーの台頭 各国での環境規制強化(ガソリン車販売禁止) |
| 市場/供給 | 自動車市場の成熟化 原材料(半導体等)の供給不安 | |
| 戦略 (Strategy) | S × O (積極) | ハイブリッド技術を活かしつつ、EV開発を加速する |
| S × T (差別化) | 信頼性の高さと生産技術で新興EVメーカーとの差別化を図る |
まとめ
SWOT分析は、自社の現状を客観的に把握し、効果的な経営戦略を立案するための強力なフレームワークです。強み・弱み・機会・脅威の4つの要素を体系的に整理することで、見落としていた課題やビジネスチャンスが明確になります。
分析で最も重要なのは、単なる現状把握で終わらせず、クロスSWOT分析を通じて具体的なアクションプランに落とし込むことです。4つのパターンを理解し、自社の状況に応じて優先順位をつけて実行しましょう。
また、SWOT分析は一度実施すれば終わりではありません。市場環境は常に変化するため、定期的な見直しと更新が不可欠です。PEST分析や3C分析などの他のフレームワークと併用することで、さらに精度の高い分析が実現します。
本記事で紹介した手順とポイントを参考に、ぜひ自社でSWOT分析を実践してください。
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