飲食業界の競争が激化する中、新規開店するお店はもちろん、長年営業を続けているお店にとっても、「差別化」は重要な課題です。ただ美味しい料理を提供するだけでは、顧客の心を掴み続けることは難しく、価格競争に巻き込まれてしまう可能性もあります。
そこで重要となるのが「ブランディング」です。
この記事では、飲食店がブランディングをゼロから構築するために必要な7つのポイントを、具体的な事例を交えながら解説します。競争を勝ち抜き、顧客に愛される繁盛店を目指しましょう。
目次
[ 詳細表示 ▼ ]
ブランディング戦略の策定に入る前に、まず「ブランディング」について理解を深めましょう。
ブランディングとは、商品やサービスに独自の価値やイメージを付与し、顧客の心の中に特別な存在として認識させるための活動全般を指します。
飲食店においては、「美味しい料理を提供する」だけにとどまらず、「心地よい空間」「特別な時間」「思い出に残る体験」など、顧客に提供する価値を総合的にプロデュースすることが重要となります。
たとえば、同じイタリアンレストランでも、「本格的なナポリピッツァをカジュアルに楽しめるお店」と「厳選されたワインと共に、落ち着いた大人の空間で本格イタリアンを堪能できるお店」では、ターゲット顧客もブランドイメージも大きく異なります。
顧客は、自分の価値観やライフスタイルに合ったお店を選びます。だからこそ、あなたの店が「誰に」「どのような価値を提供したいのか」を明確にすることが重要なのです。
飲食店は、競合店との差別化が難しい業種の一つです。しかし、明確なブランドを確立することで、顧客は「価格」ではなく「価値」でお店を選ぶようになります。結果として、価格競争から脱却し、安定した経営基盤を築くことが可能になります。
仮に、あなたのお店の近所に新しいイタリアンレストランがオープンしたとします。そのお店は、あなたのお店よりも価格が安く、メニューも豊富です。
しかし、あなたのお店は、「地元の契約農家から仕入れた新鮮な有機野菜を使用している」「ソムリエが厳選したワインを豊富に取り揃えている」「店内は、落ち着いた大人の空間で、記念日やデートにも最適」といった独自の価値を提供しています。
このような差別化を図ることで、価格競争に巻き込まれることなく、顧客に「選ばれる理由」を提供することができるのです。
効果的なブランディング戦略を策定するには、市場や顧客を深く理解し、自店の強みを活かす戦略的アプローチが不可欠です。闇雲に施策を打つのではなく、「誰に」「何を」「どのように」届けるのかを明確にする必要があります。
まずは、競合となる飲食店を徹底的に分析しましょう。どのような顧客層をターゲットに、どのようなコンセプトで、どのような価格帯で、どのようなサービスを提供しているのか、などを分析することで、自店の強み・弱みを客観的に把握することができます。
また、近隣の競合店のメニュー、内装、雰囲気、ウェブサイト、SNSなどを調査してみましょう。さらに、顧客レビューサイトなどを参考に、顧客の評価や意見を収集することも重要です。
誰に、どのような価値を提供したいのかを明確にするために、ターゲット顧客を具体的に設定します。年齢、性別、職業、ライフスタイル、価値観など、詳細なペルソナを設定することで、より効果的なブランディング戦略を立案できます。
たとえば、「30代〜40代の働く女性」をターゲットとするならば、「健康を意識したメニュー」「落ち着いた雰囲気の店内」「仕事帰りに立ち寄りやすい立地」などを検討する必要があるでしょう。
ターゲット顧客を明確にすることで、メニュー開発、価格設定、店舗デザイン、サービス、プロモーションなど、あらゆるブランディング活動に活かせます。
ターゲット顧客と競合分析を踏まえ、自店の強みを活かせる独自のブランドコンセプトを明確化します。「どのような顧客に」「どのような価値を提供し」「どのような体験をしてもらいたいのか」を具体的に言語化することで、その後のブランディング活動の指針となります。
「都会の喧騒を離れ、ゆったりとくつろげる空間を提供する」「地元の食材にこだわり、心も体も温まる料理を提供する」「お客様の特別な日を彩る、最高の料理とサービスを提供する」など、あなたの店の想いやこだわりを込めたブランドコンセプトを定義しましょう。
明確なブランドコンセプトに基づき、具体的な戦略を策定します。この段階では、メニュー開発、価格設定、サービス水準など、顧客に提供する価値を具体的に形作っていきます。
ブランドコンセプトを体現するような、魅力的なメニューを開発します。食材の産地や品質、調理法、盛り付け方など、細部にまでこだわり、顧客に「特別な価値」を提供できるメニュー作りを目指しましょう。
ターゲット顧客、ブランドコンセプト、提供する料理の品質などを考慮し、最適な価格を設定します。価格設定は、顧客の購買意欲に直接影響を与えるため、慎重に検討しましょう。安価な価格設定は、顧客獲得に有効ですが、利益率が低くなる可能性があります。
一方で、高価格帯を設定する場合は、顧客に対して価格に見合った価値を提供する必要がありますので、価格と価値のバランスを意識して設定することが重要です。
顧客に「また来たい」と思ってもらえるような、質の高いサービスを提供するための基準を設定します。スタッフの接客マナー、配膳の仕方、店内環境の維持など、顧客満足度を高めるためのサービスレベルを定義しましょう。
顧客にブランドイメージを視覚的に伝えるためには、統一感のあるビジュアルアイデンティティを構築することが重要です。ロゴ、カラー、フォント、写真、イラストなど、視覚的にブランドを表現する要素を統一して、顧客に強い印象を与えましょう。
お店の顔となるロゴは、ブランドコンセプトを象徴する重要な要素です。また、ロゴだけでなく、使用する色、フォント、写真、イラストなどのCI/VI(コーポレートアイデンティティ/ビジュアルアイデンティティ)を定めることで、ブランドイメージの一貫性を保ちます。
たとえば、ターゲット顧客が「20代〜30代の女性」で、「おしゃれで洗練された雰囲気」をブランドイメージとするならば、シンプルながらも洗練されたデザインのロゴを採用し、淡いパステルピンクやゴールドなどを基調としたカラー設定といった形です。
店舗の内外装は、顧客に直接ブランドイメージを伝える重要な要素です。ターゲット顧客の好みに合わせた空間デザイン、照明、家具などを選択し、ブランドコンセプトを体現する空間を創造しましょう。
「落ち着いた大人の空間」を演出するために、照明は少し暗めに設定し、木目調の家具を配置するといった具合です。
ターゲットのニーズにマッチした空間だと、SNSでの拡散なども期待できるため、しっかり力を入れて取り組みましょう。
メニュー表は、料理の魅力を伝えるだけでなく、ブランドイメージを表現する重要なツールです。メニューを選ぶ間、わくわくした気持ちが醸成できるようなデザインであれば、お店に対する印象はぐっと上がります。
写真やイラスト、レイアウト、フォントなどを工夫し、顧客の食欲をそそるだけでなく、ブランドの世界観を表現しましょう。
顧客との接点全てにおいて、一貫したブランドメッセージを発信することで、顧客の心に深くブランドを刻むことができます。ここではブランドイメージの強化について解説します。
ストーリーテリングとは、商品やサービスの提案、企業のブランディングなどにおいて、物語や体験談を通じ聞き手に強い印象を残す手法のことを指します。
飲食店のブランディングにおいては、お店の歴史、オーナーの想い、料理へのこだわりなど、顧客の共感を呼ぶストーリーを伝えましょう。ウェブサイト、SNS、メニュー表などで効果的にストーリーを語ることで、顧客とのつながりを構築できます。
ターゲット顧客に響くイメージを戦略的に構築しましょう。「高級感」「親しみやすさ」「スタイリッシュ」「アットホーム」など、目指すブランドイメージを明確にし、それに合わせた情報発信や店舗運営を行うことで、お店のブランドが確立していきます。
スタッフの接客マナーや言葉遣い、BGMなども、演出する重要な要素です。
ロゴ、店舗デザイン、メニュー表、ウェブサイト、SNS、広告など、顧客接点となる全てのデザインに一貫性をもたせることで、ブランドイメージが顧客に浸透しやすくなります。
ロゴに使用しているカラーやフォントは、ウェブサイト、メニュー表、SNS、広告など、あらゆるツールで統一して使用するようにしましょう。また、写真やイラストのテイストも統一することで、顧客に一貫したブランドイメージを伝えることができます。
顧客満足度を高めるためには、顧客体験を重視した店舗運営が重要です。あなたの店に顧客が訪れたとき、どのような体験を通してブランド価値を感じてもらうのか、具体的な顧客体験を設計しましょう。
来店前から来店時までに、顧客体験を向上させるにはさまざまな工夫が必要になります。来店前でいうと、分かりやすいウェブサイト、予約システムなど、来店へのスムーズな導線が重要です。
また、SNSではお店の雰囲気や料理など、おしゃれな写真をブランディングに則って発信することにより、顧客の興味喚起につながります。
来店時においては、きれいな店舗、丁寧な接客、魅力的な店内イベントなど、顧客に「また来たい」と思ってもらえるような、心地よい時間を提供しましょう。
一度来店した顧客に、再び来店してもらうための施策の展開も重要です。ポイントカード、クーポン、限定メニュー、顧客限定イベントなど、リピーター獲得のための仕組み作りをしましょう。
割引や特典、限定のイベントやフェアなどを開催することで、顧客とのエンゲージメントを高め、リピート来店を促進することにつながります。
競合ひしめく飲食業界で生き残るためには、他店との差別化、そして競争優位性を確立することが不可欠です。顧客に「あなたの店でなければならない理由」を明確に示しましょう。
他店にはない、独自の商品、サービス、空間、体験などを提供することで、顧客に「選ばれる理由」を明確に提示することができます。オリジナリティは、価格競争からの脱却、そして強いブランド構築につながります。
「世界各国のスパイスを使った本格カレー専門店」「こだわりのコーヒー豆と手作りスイーツが楽しめる隠れ家カフェ」「スポーツ観戦が楽しめるスポーツバー」など、他店とは異なる独自性の高いコンセプトを打ち出して、顧客の心を掴みましょう。
競合と比較して、顧客にとってより魅力的な要素を強化し、競争優位性を確立しましょう。料理の質、サービスの質、価格、立地、雰囲気、コンセプトなど、ポイントはさまざまですので、自店の強みを最大限に活かすことが重要です。
構築したブランドを広く知ってもらうためには、効果的な広告戦略と情報発信が重要です。現代においては、従来型の広告だけでなく、デジタルマーケティングの活用が効果的です。
ターゲット顧客に効果的にアプローチできる広告媒体を選定し、魅力的な広告を展開しましょう。
まずはインターネット広告、SNS広告、チラシ、フリーペーパーなど、ターゲットにとって最適なリーチ方法を分析します。若年層であれば、SNS広告やインフルエンサーマーケティングが有効です。
一方、地域住民をターゲットとするならば、チラシやフリーペーパー、地域情報誌への掲載などが効果的です。
次に、ターゲットにマッチした広告デザインを検討します。フォントやカラー、サイズなどを工夫して、最適なデザインを目指しましょう。
広告配信だけでなく、ウェブサイト、ブログ、SNSなどを活用し、積極的な情報発信も必要です。美味しそうな料理写真、店内の雰囲気を伝える動画、イベント情報、クーポン情報など、顧客の興味を惹くコンテンツを発信することで、来店意欲を高めることができます。
SNSはハッシュタグをつけることで、より多くのユーザーに情報が届きやすくなるので、媒体特性を理解して継続的に発信をしましょう。
ここでは、ブランディングに成功した飲食店の事例を紹介します。
健康志向が高まる中、ターゲットを絞り込んだコンセプトとSNS戦略で成功を収めた、ヴィーガンカフェ&バーの事例です。
20代後半~30代の女性をターゲットに、写真映えする彩り豊かなヴィーガンメニューとスタイリッシュな空間を提供し、Instagramを中心に積極的に情報発信を行うことで、多くの顧客を獲得しています。ターゲット層が好む世界観を徹底的に追求し、SNSでの拡散を意識した戦略の好事例です。
地元の食材を活かした温かみのあるイタリア料理を提供する店舗は、地域密着と顧客とのつながりを重視したブランド構築で成功しています。
ファミリー層や地域住民をターゲットに、アットホームな雰囲気作りと顧客とのコミュニケーションを大切にすることで、地域に愛されるお店として定着しました。
顧客の記憶に残るような、ユニークな体験を提供するという点で、非常に参考になる事例です。
顧客を非日常の世界に誘うユニークな体験を提供することで、他の飲食店との差別化を図ろうと考えた店舗は、「忍者」をテーマにした店内装飾や、忍者ショー、手裏剣体験などを行いました。
エンターテイメント性を取り入れた顧客体験を提供することで、外国人観光客やエンターテイメントを求める国内客から支持を得ることに成功した好例です。
飲食店のブランディングは、顧客に「選ばれる理由」を明確に伝え、唯一無二の存在として認識してもらうための重要な戦略です。今回ご紹介した7つのポイントを参考に、独自のブランドを構築し、顧客に愛される繁盛店を目指しましょう。
また、競合店との差別化や優位性の確立、インパクトのある訴求という面で、タレントを起用することも非常に有効です。大手飲食チェーン店はその効果から、多くの店舗で起用しています。
もし、タレントを起用したいが費用面で負担が大きいと悩んでいるのであれば、タレントサブスクサービスを活用してみてはいかがでしょうか。
「ACCEL JAPAN(アクセルジャパン)」なら、月額定額制でタレントを広告塔に起用できます。提供元を示すクレジット表記不要※で利用できるため、オリジナルキャスティングのようにタレントを起用できるのも特徴です。
店舗のWebサイトやバナー・Web広告・集客動画はもちろん、店舗の看板やPOP・のぼり・ポスター・チラシなど幅広く活用できるので、効果的にブランディングへ活用いただけます。
タレントサブスクサービスについては、以下の記事で詳しく解説しています。こちらもぜひ参考にしてください。
タレントを起用した飲食店の導入事例を含めて、貴社に合う施策をご提案させていただきますので、ぜひ一度お気軽にお問い合わせください。