企業ブランディングとは?メリット・進め方・成功事例をわかりやすく解説

「自社のブランディング施策を任されたものの、最適な方法がわからない…」
企業ブランディングの担当者の中には、このような悩みを抱えている方もいるでしょう。
企業ブランディングといっても、手法はさまざまです。戦略構築の方向性は、企業によって千差万別といえます。
企業ブランディングは、競合との差別化だけでなく、採用力強化や社内エンゲージメント向上にも効果的な施策です。本記事を読むことで、企業ブランディングの基礎から実践的な進め方、さらに成功企業の事例まで体系的に理解できます。
企業ブランディングの概要や種類、具体的なやり方や効果向上のコツ、成功事例を紹介しますので、ブランディング施策を効果的に展開し、企業価値を高めるヒントを見つけていきましょう。
ブランディング効果を向上させる方法
目次
[ 詳細表示 ▼ ]
企業ブランディングとは?定義と基本概念をわかりやすく解説

企業ブランディング(コーポレートブランディング)とは、企業が顧客、取引先、株主、地域社会、従業員に向けて自社のイメージや価値を構築していく取り組みを指します。
ロゴやデザインだけでなく、企業の理念、価値観、提供する体験すべてを通じて、独自のブランド価値を築き上げていくプロセスです。
「ブランド」は、もともと牛に焼印を押して所有者を示したことに由来しています。つまり、独自性を示すための「しるし」がブランドの語源です。現代では、この概念がさらに発展し、ブランドエクイティ(ブランド資産価値)が生まれました。
ブランドエクイティとは、ブランド名がもつ資産価値のことで、顧客のロイヤリティ、認知度、品質への信頼など、無形の価値を含みます。
企業ブランディングでは最終的に、ステークホルダーから「他社と比べて異なる価値をもつ企業」と認識されることが重要です。
企業ブランディングが必要とされる背景・理由
現代のビジネス環境において、企業ブランディングの重要性が高まっています。その背景には、以下の要因があります。
- 商品・サービスの同質化(コモディティ化):技術の発展により、機能面での差別化が難しくなり、企業の姿勢や価値観による差別化が求められています。
- 顧客体験(CX)の重視:購入前後の体験全体が評価される時代となり、企業との接点すべてがブランド形成に影響します。
- デジタル化・SNSの普及による情報発信の重要性:企業が直接顧客とコミュニケーションを取れるようになり、ブランドメッセージの発信力が問われています。
- 人材獲得競争の激化(採用難):求職者が企業を選ぶ基準として、企業の理念や文化への共感が重視されるようになりました。
- ESG経営・パーパス経営への注目:社会的責任や存在意義を明確にする企業が評価され、ブランド価値の向上につながっています。
こうした背景から、大企業だけでなく中小企業にもブランディングが求められています。
企業ブランディング・マーケティング・PRの違い
ブランディングとマーケティングは混同されがちですが、目的や対象が異なります。以下の表で、それぞれの違いを整理しましょう。
| 項目 | 企業ブランディング | マーケティング | PR(広報) |
|---|---|---|---|
| 目的 | 企業の価値やイメージを構築する | 商品・サービスを売るための活動 | 企業や商品の情報を第三者を通じて発信 |
| 対象 | 企業全体 | 個別の商品・サービス | メディアや社会全般 |
| 期間 | 中長期的(数年単位) | 短期〜中期的 | 短期〜中期的 |
| 手法 | 理念の浸透、VI整備、社内外への発信 | 広告、販促、価格戦略 | プレスリリース、メディア対応 |
マーケティングの上位概念としてブランディングが位置づけられます。つまり、ブランディングで築いた企業価値を基盤に、マーケティング活動やPR活動が効果を発揮するという関係性です。
ブランディングが短期施策ではなく中長期的な取り組みであることを理解し、一貫した姿勢で取り組むことが重要です。
企業ブランディングのメリット7選
企業ブランディングに取り組むことで、以下のメリットが期待できます。これらのメリットは相互に関連し、好循環を生み出します。
- 競合他社との差別化
- 価格競争からの脱却
- 顧客ロイヤリティ・LTVの向上
- 広告宣伝費の削減
- 優秀な人材の確保・定着
- ステークホルダーからの信頼獲得
- 資金調達コストの低減
それぞれ解説します。
①競合他社との差別化
企業ブランディングでは、「機能」ではなく「意味・姿勢・世界観」で差別化できます。商品やサービスの機能が似通っていても、企業の理念やストーリーは唯一無二です。
ブランドが確立されると、指名検索や第一想起が増え、比較検討で優位に立てます。顧客が「この会社から買いたい」と思う理由を作ることができ、類似商品でも選ばれる企業になります。
②価格競争からの脱却
価格より価値で選ばれるようになるため、値下げ圧力が弱まります。ブランド力がある企業は、顧客に「納得感」を与えることができ、プレミアム価格が成立しやすくなります。
価格以外の判断軸として、安心・信頼・体験などの要素を提供できるため、価格競争に巻き込まれにくくなるでしょう。
③顧客ロイヤリティ・LTVの向上
ブランドへの共感は、ファン化・継続利用・口コミの増加につながります。顧客が企業に愛着をもつことで、解約率が低下し、アップセル・クロスセルの効率が上がるのです。
ブランド体験が「生活の一部」になるとリピートが強固になり、顧客生涯価値(LTV)の最大化が実現します。
④広告宣伝費の削減
ブランド力が高まると、指名検索・自然流入・紹介など、広告以外からの流入が増え、顧客獲得単価が下がります。広告が「説明」ではなく「共感の後押し」になるため、広告効率の向上が期待できます。
また、PRやSNSでの拡散力が高まり、広告依存度が減少することで、中長期的には広告宣伝費の削減につながります。
⑤優秀な人材の確保・定着
「どんな会社か」が明確に伝わると、ミスマッチ採用が減ります。企業の理念や価値観に共感した人材が集まるため、共感採用ができ、入社後のエンゲージメントが高まるでしょう。
社員が自社に誇りをもつことで離職率が低下し、優秀な人材の定着率向上にも寄与します。
⑥ステークホルダーからの信頼獲得
企業ブランディングにより、取引先・株主・地域社会など、ステークホルダーから「企業姿勢」を評価されやすくなります。
有事におけるブランドの防衛力が上がり、炎上や不祥事が発生した際も、これまで築いてきた信頼が緩衝材となります。
特にBtoB企業では、「信用」が購買の前提条件となるため、ブランド力は大きな武器です。
⑦資金調達コストの低減
信用力が高まると、融資や投資の評価が有利になりやすくなります。ビジョンが明確な企業は、投資家に対して将来性を説明しやすく、説得力が増します。
採用や売上面の安定が「リスクが低い企業」として映るため、金融機関や投資家からの信頼を得やすくなり、資金調達コストの低減につながるでしょう。
企業ブランディングのデメリット・注意点
一方で、企業ブランディングには以下の課題やリスクも存在します。デメリットを理解したうえで、長期的視点で取り組むことが重要です。
- 効果が出るまでに時間とコストがかかる
- 効果測定が難しい(定量化しにくい)
- 一度構築したイメージの変更が難しい
- 全社的な取り組みが必要となる
順に紹介します。
①効果が出るまでに時間とコストがかかる
企業ブランディングは短期で成果が見えにくく、半年から数年のスパンで取り組む必要があります。施策費用だけでなく、社内工数も大きくなるため、継続的な投資が求められます。
途中で方針がブレると、それまでの投資が無駄になりやすいため、一貫した姿勢で取り組むことが不可欠です。
②効果測定が難しい(定量化しにくい)
ブランディングの効果は、売上への直接影響が追いにくく、複数の施策が絡むため定量化が難しい側面があります。
指標例としては、指名検索数、想起率、NPS(顧客推奨度)、応募数、離職率などがありますが、定性調査(アンケートやインタビュー)も合わせて追う必要があります。
③一度構築したイメージの変更が難しい
認知が固まると、企業イメージの方向転換には時間がかかります。「言っていること」と「実態」がズレると、信頼低下につながるため注意が必要です。
リブランディングを行う際は、段階的な変更設計が重要であり、急激なイメージ転換は避けるべきです。
④全社的な取り組みが必要となる
企業ブランディングは、マーケティング部署だけでは成立しません。営業、採用、カスタマーサクセスなど、全部署が関与する必要があります。
経営陣のコミットがないと社内に浸透しないため、トップダウンでの推進が不可欠です。また、現場の行動に落ちる仕組み(判断基準や教育)も整備する必要があります。
企業ブランディングの5つの種類【一覧表付き】
企業ブランディングは、対象や目的によって手法が異なります。本項では、主な企業ブランディングの5つの種類について解説します。
以下の表で、5種類の企業ブランディングの違いを一目で比較できるようにしました。
| 種類 | 対象 | 目的 | 主な施策 |
|---|---|---|---|
| アウターブランディング | 社外(顧客・取引先・株主など) | 企業の認知度・好感度向上 | ・テレビCM ・Web広告 ・SNS運用 ・PR活動 ・オウンドメディア |
| インナーブランディング | 社内(従業員) | 社員のロイヤリティ・モチベーション向上 | ・社内報 ・ブランドブック ・研修 ・イベント |
| リブランディング | 社内外 | 既存ブランドの刷新・再構築 | ・企業ロゴの変更 ・メッセージ刷新 ・ビジュアル整備 |
| 採用ブランディング | 求職者 | 採用力強化・ミスマッチ防止 | ・採用サイト ・SNS発信 ・イベント ・社員インタビュー |
| デブランディング | 社外(主に顧客) | 企業色の簡素化・顧客との距離を縮める | ・ロゴ簡素化 ・ブランド主張の抑制 |
それぞれ詳しく見ていきましょう。
アウターブランディング
アウターブランディングとは、企業が社外に向けて行うブランディングの総称です。一般的にブランディングと聞いて思い浮かべるのは、このアウターブランディングが多いのではないでしょうか。
アウターブランディングには企業CMなどのPR活動はもちろん、IR活動や広報活動など自社ブランドの知名度・好感度を高める活動も含まれます。テレビCM、Web広告、SNS運用、PR活動、オウンドメディア運営などが具体的な施策例です。
認知度向上や好感度アップ、指名買いの増加が期待できる手法です。
インナーブランディング
インナーブランディングはアウターブランディングと対照的に、社内に対してブランディングを行っていくことです。そのため、自社で働く従業員たちが対象となります。
インナーブランディングを実施することで、社員のロイヤリティやモチベーションアップといった効果が期待できます。また、インナーブランディングには社員の連帯感を向上させる効果もあり、コミュニケーションの活性化効果も期待できるでしょう。
従業員がブランドの体現者となり、顧客接点での一貫した体験を提供できるようになります。主な施策は、社内報、ブランドブック、研修、イベントなどです。
リブランディング
リブランディングとは、既存の自社ブランディングを見直し、新たに自社ブランディングを行ってブランドイメージを刷新していくことです。
表面的な部分では企業ロゴの変更などの施策がリブランディングに該当しますが、本質的な部分では自社ブランドの在り方を根本から見直し、新たなブランドイメージを構築することがリブランディングです。
リブランディングが必要なタイミングは、市場環境の変化、ターゲット層の変更、企業統合時などです。主な施策は、企業ロゴの変更、メッセージ刷新、ビジュアルの整備などです。成功のポイントは、表面的な変更ではなく、ブランドの本質から見直すことです。
採用ブランディング
採用ブランディングとは、企業が自社の採用活動に際して自社の魅力や価値観を対外的に発信し、求職者のイメージ向上を図ることです。
採用ブランディングを行うことで企業の理念や価値観を求職者に共有できます。また、自社のクリーンなイメージを求職者に向けて伝えていくことで、「この会社で働きたい」と思ってもらえるようになります。
期待できる効果は応募数の増加、採用コストの削減、入社後のミスマッチ防止などです。主な施策は、採用サイト、SNS発信、イベント、社員インタビューなどです。売り手市場が続く中、採用ブランディングの重要性は高まっています。
デブランディング
デブランディングとは、企業ロゴをはじめ、自社のイメージを簡素化していくことを指す言葉です。
通常のブランディングとは異なり、「企業色」を排したデブランディングを行うことで、企業らしさから顧客へ寄り添う方向へとシフトすることが可能です。過度なブランド主張を控え、顧客との距離を縮める効果があります。
たとえば、スターバックスのロゴは旧ロゴからリニューアルされ、おなじみのセイレーンをモチーフにした緑と白のロゴに統一された例がまさしくデブランディングの代表例といえます。AppleやNikeなどもロゴの簡素化を行っています。
企業ブランディングを成功に導く9つの施策
企業ブランディングでは、以下の施策を組み合わせて展開することが効果的です。
- キャッチコピー・スローガンの策定
- ロゴ・VI(ビジュアルアイデンティティ)の整備
- Webサイト・オウンドメディアの構築
- SNS運用・コンテンツマーケティング
- テレビCM・動画広告
- イベント・展示会
- PR・広報活動
- 社内浸透施策(ブランドブック等)
- タレント・インフルエンサー起用
それぞれ見ていきましょう。
①キャッチコピー・スローガンの策定
キャッチコピーやスローガンは、ブランドの「約束」を短い言葉で固定化するものです。誰に・何を・どう届けるかが伝わる設計にすることが重要です。
良いコピーの条件は、覚えやすい、尖っている、一貫性があることです。たとえば、「Just Do It(Nike)」「お口の恋人(ロッテ)」「そうだ 京都、行こう。(JR東海)」など、シンプルでありながら企業の姿勢やメッセージが伝わるコピーが理想です。
②ロゴ・VI(ビジュアルアイデンティティ)の整備
見た目の統一で「らしさ」を伝え、信頼感を上げることができます。VI(ビジュアルアイデンティティ)はロゴだけでなく、色・書体・トーンも含みます。
ガイドライン(レギュレーション)を整備し、すべての媒体で一貫したビジュアル表現を行うことが重要です。これにより、どこで接触しても「この企業だ」と認識されるようになります。
③Webサイト・オウンドメディアの構築
Webサイトは、企業の第一印象を決める重要な場所です。会社案内、採用情報、問い合わせ導線など、顧客との最初の接点となります。
コンセプト・言葉遣い・デザインを統一して伝えることで、ブランドイメージを効果的に訴求できます。事例・実績・社員紹介で「らしさ」を補強することも効果的です。
④SNS運用・コンテンツマーケティング
継続的な発信で共感・信頼を積み上げることができます。誰に何を届けるか(トーン・テーマ)を決めてブレさせないことが重要です。
炎上対策として、ガイドラインや投稿ルールを整備しておくことも必要です。一貫したメッセージ発信により、ブランドイメージが強化されます。
⑤テレビCM・動画広告
感情訴求・世界観を伝えるのに強い手法です。短尺でも「らしさ」が伝わる構成(ストーリー・音・色)を工夫します。
出稿後の認知変化を追う指標(ブランドリフト調査など)も設定し、効果測定を行うことが重要です。
⑥イベント・展示会
直接体験してもらうことでブランド理解が深まりやすいのが、イベントや展示会の特徴です。空間演出・接客・配布物まで一貫設計することで、ブランド体験を強化できます。
BtoBでは商談化だけでなく、「信用の獲得」が目的になり得ます。顧客との直接的なコミュニケーションにより、ブランドへの理解と信頼が深まります。
⑦PR・広報活動
広告より信頼されやすい第三者評価(メディア掲載)を狙えるのがPR活動の強みです。ストーリー設計(なぜ今それをやるのか)がカギとなります。
危機管理広報(炎上対応)もブランド維持に直結するため、事前の準備が重要です。
⑧社内浸透施策(ブランドブック等)
「社員の行動」がブランドを作るため、社内浸透は最重要です。ブランドブック、行動指針、研修などで共通言語化を図ります。
評価制度やマネジメントへの組み込みが浸透の近道です。社員がブランドを体現できる環境を整えることが、長期的なブランド価値の向上につながります。
⑨タレント・インフルエンサー起用
タレント起用施策は、認知度の向上が速い反面、炎上や不一致リスクもあります。「ブランドと相性の良い人物像」を定義してから起用することが重要です。
契約・発信範囲・不祥事対応のルール設計も必要です。適切なタレント起用により、短期間での認知度向上とブランドイメージの向上が期待できます。
タレントサブスクを徹底解説
企業ブランディングの進め方・手順を4STEPで解説

企業ブランディングについて理解できても、具体的にどのように進めればいいかわからない…という方もいるでしょう。
そこで本項では、企業ブランディングの進め方について4つのステップを解説します。
- 自社分析
- 競合分析
- ブランディング戦略構築
- 施策展開
それぞれ紹介します
STEP1:自社分析
まず行うべきなのは自社分析です。自社について理解を深めなければブランディング施策を進めることはできません。
企業として伝えていきたい価値観、理念はどういったものなのかを再考し、ブランディング戦略を通じて対外的にどう自社をアピールしていくべきなのか洗い出しましょう。
なお、自社分析では3C分析やSWOT分析など、マーケティングで用いられる分析手法を用いることで、自社の内部環境や外部環境の洗い出しに役立てられます。
SWOT分析では、強み・弱み・機会・脅威の4象限で自社を整理します。3C分析では、自社(Company)・顧客(Customer)・競合(Competitor)の3つの視点から分析します。
自社分析が疎かなままブランディング戦略を進めても、「結局、この会社は何が言いたいの?」と曖昧なイメージをもたれてしまうでしょう。そのため、まずは自社について徹底的に分析するところから始める必要があります。
STEP2:競合分析
ステップ2として行うべきなのは競合分析です。自社分析で自社について明確になったところで、競合他社がどのようなブランディング戦略を構築し、実行しているのか分析しましょう。
競合のブランドポジショニング、ターゲット顧客、訴求メッセージ、ビジュアル表現などを調査します。競合との違いを明確にすることで、自社独自のポジションを見つけられます。
なお競合分析を行う際は、3C分析やクロスSWOT分析などのフレームワークを用いることで、実践的な分析が可能です。
そして他社について知っていくことで、その中で自社がどのようなブランディング戦略を実施すれば競争優位に立てるのか、より良い印象をもってもらえるようになるのかが見えてくるでしょう。
STEP3:ブランディング戦略構築
自社分析と競合分析が完了した後は、実際にブランディング戦略の構築に移ります。
施策の検討を行う前に、まずはブランド定義を行いましょう。ステップ1、ステップ2の分析を通じて導き出した自社の強みやアイデンティティを軸に、競合他社にはない、オリジナリティのあるブランドイメージを定義します。
ブランドアイデンティティの要素として、ブランドパーパス(存在意義)、ブランドビジョン(目指す姿)、ブランドバリュー(価値観)を言語化します。「誰に」「何を」「どのように」伝えるかを明確にすることが重要です。
企業の歴史や理念をストーリーとして整理することも効果的です。そして定義した新しいブランドイメージをまずは社内で共有し、共通認識をもっておけるようにしましょう。
次に、新しいブランドイメージをもとに、そのイメージをどのような施策を使って世の中に浸透させていくか考えます。
たとえば、リブランディングの一環として企業ロゴを新しくするのであれば、その認知を浸透させるために新ロゴが入ったテレビCMを制作するなど、さまざまな方法で認知の浸透に向けた戦略を打ち出します。
STEP4:施策展開
最後のステップは、施策の展開です。
構築したブランディング戦略をもとに、施策を通じて自社のブランドイメージを広め、定着を図ります。テレビCM、広告、イベントなどブランドイメージの定着に向けて実施できる施策はさまざまですが、効果が出るまでにはある程度の時間が必要です。
そのため、中長期的なプランが必要になるでしょう。
施策展開後はPDCAサイクルを回し、継続的に改善していくことが重要です。認知度、好感度、NPS(顧客推奨度)などをKPIとして設定し、定期的に測定しましょう。効果が出るまでに1〜3年かかることを想定し、中長期的な視点で取り組みます。
また、施策を展開した後は、必ず効果検証を行います。実際に施策に対する反応や評判はどうだったのか、ユーザーの反応をリサーチし、効果検証を行うことで、ブランディング戦略全体をブラッシュアップしていくことにもつながります。
事前に自社、競合や市場分析を行ったうえでブランディング戦略を構築し、施策の実行に移すことで、企業ブランディングを円滑に進めることが可能です。
企業ブランディングの成功事例5選【有名企業の実例】
本項では、実際に企業ブランディングに成功した事例を5つ紹介します。
- 星野リゾート
- レッドブル
- スターバックス
- ヤンマー
- ユニクロ
それぞれみていきましょう。
成功事例①:星野リゾートの体験価値ブランディング
星野リゾートは、高級旅館・リゾートを運営する企業です。同社のブランディング施策は、「圧倒的な非日常感」をコンセプトに、施設ごとに異なる体験価値を提供している点が特徴です。
成功ポイントは、サブブランド戦略(星のや、界、リゾナーレ、OMO、BEB)を展開し、それぞれ異なるターゲットに最適化された体験を提供していることです。地域の魅力を活かした独自体験と徹底したサービス品質により、差別化を実現しています。
その結果、国内リゾート業界でのブランド認知度No.1を獲得し、「おしゃれでラグジュアリーな体験ができるリゾート」としてのブランドを確立しています。
成功事例②:レッドブルの一貫したブランドメッセージ
レッドブルは、エナジードリンク市場でグローバルシェアNo.1を誇る企業です。同社のブランディング施策は、「翼をさずける」のキャッチコピーを長年一貫して使用していることが特徴です。
成功ポイントは、一貫したメッセージ発信、スポーツ・エクストリームイベントへの積極的なスポンサード、そして赤・青・銀の統一されたパッケージデザインです。長年同じ印象を消費者に与え続けることで、「エナジードリンク=レッドブル」という想起を確立しました。
派手でインパクトのあるブランディングではないものの、長い間同じ印象を消費者に与え続けることで、強固なブランドイメージの構築に成功しています。
参考:Red Bull公式HP
成功事例③:スターバックスのサードプレイス戦略
スターバックスは、世界最大のコーヒーチェーンです。同社のブランディング施策は、「サードプレイス」(家と職場に次ぐ第3の場所)をコンセプトに据えていることが特徴です。
成功ポイントは、バリスタ教育への投資、居心地の良い店舗空間の提供、そしてロゴから「Coffee」を削除したデブランディングです。商品としてのコーヒーより、店舗での体験を通じて人の心を豊かにすることを重視しています。
その結果、単なるコーヒー販売ではなく「体験」を売るブランドとして確立され、顧客にとっての「居場所」を提供する企業としてのポジションを獲得しています。
成功事例④:ヤンマーアグリジャパン株式会社の企業ブランド刷新
ヤンマーアグリジャパン株式会社は、農業機械メーカーとして創業100年以上の歴史をもつ老舗企業です。2014年に「ヤンマープレミアムブランドプロジェクト」を開始し、企業ブランドの刷新に取り組みました。
成功ポイントは、世界的デザイナー(奥山清行氏)の起用、製品デザインの一新、「FLYING-Y」のブランドメッセージ策定、そしてテレビCMでの積極的なイメージ刷新です。
これにより、「農機具メーカー」から「先進的なテクノロジー企業」へのイメージ転換に成功し、採用応募数の増加など、具体的な成果を上げています。老舗企業であっても、戦略的なブランディングにより大きな変革が可能であることを示した好例です。
成功事例⑤:ユニクロのLifeWearブランディング
ユニクロは、グローバルアパレルブランドとして、株式会社ファーストリテイリング傘下で展開されています。同社のブランディング施策は、「LifeWear(あらゆる人の生活をより豊かにする服)」をコンセプトに据えていることが特徴です。
成功ポイントは、機能性×シンプルデザインの一貫した商品開発、グローバル統一のブランドイメージ、定番商品の継続的改良、そして低価格でも高品質というポジショニングです。
その結果、世界第3位のアパレル企業に成長し、「ファストファッション」から「ライフスタイルブランド」へとブランドイメージを転換することに成功しています。
自社の状況と本項で紹介した事例の内容を照らし合わせつつ、参考にしてみましょう。
参考:ユニクロ公式HP
企業ブランディングを成功させる5つのポイント
本業ブランディングの効果をより高めるためのポイントについて解説します。
- ブランディングの目的を明確化する
- ブランドコンセプトを設定する
- タレントを施策に起用する
- 一貫性のあるメッセージを発信する
- 社内への浸透を徹底する
順に見ていきましょう。
ブランディングの目的を明確化する
ブランディングにはさまざまな目的があります。ブランディングの目的によって、取り組むべき施策も異なるでしょう。
「認知度向上」「採用強化」「顧客ロイヤリティ向上」など、優先順位を明確にすることが重要です。そのため、まず何のためにブランディングを行うのか、企業の中でビジョンを明確にしておきます。そしてそのビジョンを社内でしっかりと共有し、共通認識をもっておくことが不可欠といえます。
ブランディングの効果を向上させるのであれば、どのような施策を打つか検討する前に、ブランディングの目的を明確化しておきましょう。
ブランドコンセプトを設定する
ブランドコンセプトはブランディングに欠かせない要素の一つです。コンセプトを設定しておくことで、ブランディング戦略を立案する際も、コンセプトに沿った内容で企画を立てられるようになります。
コンセプト設定のポイントは、「自社の強み」「顧客のニーズ」「競合との違い」の3つが重なる領域を見つけることです。この交点こそが、独自のブランド価値を生み出すポイントです。
また、ブランドコンセプトを明確にすることで、顧客(消費者)視点から見ても、何を伝えようとしているのかが明確になり、好感を得やすくなるでしょう。
戦略の進行、顧客からの印象という2つの観点から、ブランドコンセプトはブランディング時に必ず設定しておくべきです。
タレントを施策に起用する
ブランディングといっても、実際に効果が出なければ意味がありません。しかしながら、自社ブランドを一般の人々に印象付けるには、何かしらのインパクトが必要です。
そこで多くの企業が、タレントを自社のブランディング施策に起用しています。知名度のあるタレントを起用することで、短期間での認知度向上が可能です。自社広告からテレビCM、イベントなど、ブランディング活動の一環としてタレントを起用する施策は多岐に渡ります。
実際、タレントを起用することで、企業は新たな認知を獲得することが可能です。たとえば、それまで自社を知らなかった層からも、タレントを起用することで「タレントのAさんがテレビCMに出ていた企業だよね」という認知を得ることができます。
タレントという一つのきっかけを軸に新しく自社に興味をもってもらえるという意味では、タレント起用は企業のブランディングに大きな影響を与える要素といえるでしょう。
予算に限りがある場合は、定額制でタレント素材を活用できるサービス(タレントサブスク)もおすすめです。比較的低額でタレントを自社のプロモーション施策に起用できるため、中小企業を中心に近年盛り上がりを見せています。
なお、芸能人を起用したブランディングについてはこちらの記事でも詳しく解説していますので、ぜひチェックしてみてください。
タレントサブスクを徹底解説
一貫性のあるメッセージを発信する
ブランディングでは、すべてのタッチポイントで一貫したメッセージを発信することが重要です。Webサイト、SNS、広告、店舗、社員の対応など、顧客が企業と接するあらゆる場面で、同じブランドイメージを感じられる必要があります。
一貫性を保つことで、ブランドメッセージが強化され、顧客の記憶に残りやすくなります。
ブランドガイドラインを作成し、社内で共有することで一貫性を担保できます。ガイドラインには、ビジュアル要素だけでなく、言葉遣いやトーン、価値観なども含めることが重要です。
社内への浸透を徹底する
企業ブランディングは、まず社内への浸透から始めることが大切です。社員がブランドの意味や価値を理解していなければ、顧客に対して一貫したブランド体験を提供することはできません。
従業員がブランドの体現者となることの重要性を認識し、研修やワークショップ、ブランドブックの配布など、さまざまな施策を通じて社内浸透を図りましょう。
経営層から現場まで、全社一丸となってブランドを体現することが成功のカギです。社員がブランドに誇りをもち、自発的にブランド価値を高める行動を取れる環境を整えることが、長期的なブランド価値の向上につながります。
なぜ企業ブランディングを行うのか、自社のブランド価値はどこにあるのかを明確にしたうえで、施策の企画立案に移っていくことにより、効果的な企業ブランディングが実現します。
企業ブランディングに関するよくある質問(FAQ)
企業ブランディングに関するよくある質問を紹介します。
- 企業ブランディングにかかる費用の目安は?
- 効果が出るまでにどれくらいかかる?
- 中小企業でもブランディングは必要?
- ブランディングとリブランディングの違いは?
- 社内にノウハウがない場合はどうしたらいい?
同じような疑問をお持ちの方はぜひ参考にしてください。
Q1:企業ブランディングにかかる費用の目安は?
企業ブランディングにかかる費用は、規模や施策により数十万円から数千万円まで幅があります。
まずは自社分析と戦略策定から始め、段階的に投資することがおすすめです。
初期段階では、ブランドコンセプトの策定やVIの整備など、基盤となる部分に集中し、効果を見ながら施策を拡大していく方法が現実的です。
Q2:効果が出るまでにどれくらいかかる?
企業ブランディングの効果は、一般的に1〜3年程度かかります。
短期的な売上向上を目指すのではなく、中長期的なブランド資産構築を目指すことが重要です。半年程度で初期の認知度向上が見られることもありますが、ブランドイメージが定着し、採用や売上に好影響をもたらすには、継続的な取り組みが不可欠です。
Q3:中小企業でもブランディングは必要?
むしろ中小企業こそブランディングが必要です。
限られたリソースで競合と差別化するために、ブランディングは非常に有効な手段です。大企業のように大規模な広告予算がなくても、自社の強みを明確にし、一貫したメッセージを発信することで、独自のポジションを築くことができます。
Q4:ブランディングとリブランディングの違いは?
ブランディングは新規にブランドを構築することを指し、リブランディングは既存ブランドの見直し・刷新を指します。
企業の成長段階や市場環境の変化に応じて、適切なタイミングでリブランディングを検討することが重要です。
Q5:社内にノウハウがない場合はどうすればよい?
社内にノウハウがない場合は、ブランディング会社やコンサルタントに相談する方法もあります。
まずは基礎知識を学び、自社の方向性を明確にすることが第一歩です。外部の専門家と協力しながら、社内にもブランディングのノウハウを蓄積していくことで、長期的に自走できる体制を整えることができます。
まとめ
本記事では、企業ブランディングの概要や種類、具体的なやり方や、効果をあげるためのコツについて解説しました。
本記事のポイントをまとめます。
- 企業ブランディングは中長期的な取り組みであり、1〜3年の視点で継続することが重要
- メリット・デメリットを理解したうえで戦略を構築し、全社的に取り組む必要がある
- 成功企業に共通するのは一貫性と社内浸透であり、施策の積み重ねがブランド価値を高める
自社のブランド価値を広め、イメージ構築を行っていくうえで、ブランディング施策は不可欠です。
なお、企業ブランディングの効果を底上げするには、インパクトのある施策が必要となりますが、その中でも効果的なのはタレントを起用することです。
しかし、タレントを起用できるだけの予算はない、という場合には、タレントサブスクの活用を検討してみましょう。タレントサブスクとは月額/年額のサブスクリプションサービスで、料金を支払うことでタレントの提供素材を各種プロモーション施策に活用することができます。
これはブランディング施策においても例外ではありません。比較的低額でタレントを自社のプロモーション施策に起用できるため、中小企業を中心に近年盛り上がりを見せています。ブランディング施策にお悩みの方は、ぜひアクセルジャパンにご相談ください。
(※規定あり)
導入企業様の事例を紹介
-
ACCEL JAPAN(アクセルジャパン)とは?
アクセルジャパンは、著名タレントの肖像素材(写真・動画)を定額制で提供する広告支援サービスです。
中小企業やスタートアップでも、安心価格でインパクトあるタレント起用が可能に。
紙・Web・SNS・動画などあらゆる媒体で、タレントの力を最大限に活かしたプロモーションが実現します。 -
特徴・強み
◆ 月額定額でコストを抑えて使える
通常、数百万円かかることもあるタレント起用。
アクセルジャパンなら初期費用ゼロ・月額定額制で、明朗&低リスクに導入できます。
◆ 著名タレントが多数登録
ヒロミさん、名倉潤さん、板野友美さん、篠田麻里子さん など
信頼性のあるタレントを、企業の「顔」として活用可能。
◆ チラシからCM、Web広告まで幅広く活用可能
印刷物、動画広告、SNS、イベントなど、様々な用途・業種に対応した素材が用意されています。 -
こんな企業におすすめ
中小・ベンチャー企業でも「一歩進んだ」広告をしたい方
広告や販売促進で競合と差別化したい方
社外に対して信頼性・安心感を打ち出したい方
参考記事:企業ブランディング | パドルデザインカンパニー株式会社